衝動と情熱だけで生きている

主に観劇の記録。

ドラキュラと私

オタクのみなさん、最近何を楽しみに生きてますか?

私が最近一番楽しかったのは、同世代の友人たちとリモート飲みしながらMを見たことです。もちろん、M!じゃなくてayuの方です。

2020年上期、私はドラキュラのために生きている予定でした。
金曜夜に渡って連続観劇、月曜早朝に帰国→仕事のいつものパターンを、命続く限り繰り返す予定でした。
一度も観てないうちから、取ったチケットの数は20公演を超えてました。
BTSのソウルコンと被った週末のホテルは、チケットより必死になって予約しました。

それが、なんということでしょう。

3月の連休やゴールデンウィークに観に行こうと思ってた方も多いことでしょう。
脂がのってきた後半に集中しようと思ってた方もいることでしょう。
エアやチケットのキャンセル代でどんなに懐が潤っても、心は一向に潤いませんよね。
オラがみんなの無念さを集めたら、フリーザ様も瞬殺できるはず。

そんな状況の中、2月に長期休暇を取ってた私は、幸運にもギリギリ観劇することができました。
マッコンまで見終わったらドラキュラについて何か残そうと決めてたんですが、もう観られないので、書いちゃいます。こんなときに見たくないよ~という心情の方、分かります。どうぞ回れ右してください。

私なりのドラキュラ三演へのレクイエムとして、アメトーーク!形式で綴りたいと思います。ひな壇でパネル出してる感じを想像しながら読んでいただけたら嬉しい。

韓国版ドラキュラのここが凄い

言うまでもなく、ドラキュラは、ブラムストーカーの小説を原作としたミュージカルです。作曲はみんな大好きワイルドホーン御大。
ただ、あらすじは原作と全然違くて、どれだけ違うかというと、「オペラ座の怪人」と「ファントム」くらい違う。
原作は怪物ドラキュラに立ち向かうジョナサンやヴァンヘルシング教授たちが主役なんだけど、ミュージカルの方はドラキュラが主役の愛の物語です。
これまでBWやオーストリア、日本等で上演されてきたこの作品ですが、韓国版は他国のそれとは大きく趣が異なります。どのへんが違うかについて簡単にご紹介。

・ド派手な舞台装置

大がかりな舞台装置にプロジェクションマッピングを組み合わせて、次々と行われる舞台転換。これでもかってくらい回転するお盆の上で駆け回る俳優陣。ちょっとしたステージアラウンド状態。とにかく視覚的に飽きない。
でも唯一、三演のドラキュラとミナの肖像画、あれはあかん。善良な村のおばあさんが良かれと思って修正したやつにしか見えん。

・イリュージョンショーばりの演出

400歳のじいさんがフード脱いだらアイドルになってたり、土の中からスレイブ出てきたり、十字架から炎が出たり(出ないこともあったり)、天井から棺が降りてきたり、棺の中にいたはずのドラキュラ様が消えてたり、プリンセス天功ばりのイリュージョンが繰り広げられる。

・物語性の深さ

韓国版では「She」という曲が新しく追加され、聖職者だったドラキュラが吸血鬼となってしまった悲しい過去が語られます。また再演からは、終盤にドラキュラとヴァンヘルシング教授の対峙シーンが追加され、ミナへの愛のあり方に苦悩するドラキュラの心が、より分かりやすく表現されています。
正直、初演のときに予習で観た某国版では、誰にも感情移入できず、ドラキュラが単なる粘着質なストーカーにしか思えなかった。だから、「とりあえず1回みてみるか」程度の気軽さで芸術の殿堂に足を踏み入れたんですが、もう全力で謝罪しました。
謝罪内容については後程長々と書きます。

・実力者揃いの俳優陣

2014年の初演時、強火シアペンだった私は、ジュンスが出るからという理由でドラキュラを観に行ったんですが、共演者の方々の歌唱力と演技力に打ちのめされて帰国しました。
ミナ役:チョジョンウン/チョンソナ、ジョナタン役:カイ、ヴァンヘルシング役:ヤンジュンモ、ルーシー:イジヘ、ですよ。もちろん、ドラキュラ役Wキャストはミュ界の皇帝ことリュジョンハン先生ですからね。なんという音楽の宝石箱や・・・
なにぶん設定がファンタジーなので、演出に加えて役者に説得力がないと、なかなか難しい作品だと思うんです。そこを埋めて余りある豪華俳優陣。
そして今上演中の三演、何といっても私の本陣様が!ついに!念願のドラキュラを!!演ってるんです!!!ジョンハン先生もジョンウンさんも再登板だし、大人気のイチュンジュさんがジョナタンだし、これはもう蚕室の池のほとりにテント張って住むしかないと思っていたのですが・・・(そして毎日オモリチゲに通いたかった・・・)

という感じで、韓国版のドラキュラは完成度もエンタメ性も大変高く、とにかく中毒性が強いのです。

主演俳優のここが凄い~シャキュラ(キム・ジュンス)編

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観劇中、頭から血の気が引くような衝撃を受けた経験、ありますか?
私は3回あります。そのうち1回が、2014年に初めて観たジュンスのドラキュラ(シャキュラ)です。

予習でのがっかり度による低テンションに加え、ジュンス本人も「派手な舞台演出とかで助けてもらわないとちょっと難しい作品」だと珍しく控えめな発言をしていたこともあり、ほとんど期待せずに座席に座ったわけです。

開演。
会場に吹く風の音。怪しく響く女性の声。
みるみる血に染まっていく十字架。世界が赤く染まっていく…
♪だっだーん!だっだーん!!だっだーん!だーだだだーだだ~

そこから約3時間、多分ずっと口開けてた。途中、何も考えられなかった。
終わってから別の席で観てた友達らと合流して、タクシー乗ってコプチャン屋について、ビール飲むまで約30分。誰も一言も発さなかった。
というか、みんな話せなかったんです。魂抜かれて。全員レンフィールド状態。
「…やばいものをみたね?」私は掠れた声を絞り出した。

・視覚的表現がすごい

役を演じる時、外見から作りこむのは彼の特権ですよね。白い肌に赤髪のドラキュラ様、人外感がすごい。言われなくても、ドラキュラさんですね?ってわかる視覚的訴求力。舞台のどこにいても、否が応でも目が行ってしまう。
赤髪は公演中何度も染め直すらしいんですが、特に染め直した直後は、赤い髪から流れる汗で白い衣装が赤く染まって、血の涙を流してるような錯覚を起こしてしまうんです。これも演出だったらすごい。衣装さんは大変そうだけど。
ミュ界では歌で勝負しろ的な暗黙の雰囲気があって、外見を作りこむのが何となくタブー視されてた傾向があったけど、彼のおかげで潮流が変わった気がします。*1

あとね、400歳のじいさんの、じいさん感がすごい。
とにかく不気味で気持ち悪い。あの独特なしゃがれ声に、バイオハザードのゾンビみたいな不規則でのろのろした動き、小刻みに震える指先、ぼさぼさの白髪から見え隠れする赤い目。子供が見たらトラウマになるわ。
しかも、回数を重ねるたびにじいさん感が増してるのがすごい。
そこから一気に変身するFresh Bloodの盛り上がり方ね。初演時の、水を打ったような静まりからの爆発的な歓声、いまだに思い出すと鳥肌が立つ。

観客への見せ方を分かってるってところは、長年トップアイドルでありつづけたジュンスならではの強みだと思います。

・身体表現がすごい

アジアのダンスマシーンことシアジュンス。視覚表現だけじゃなく、身体能力でも魅了させてくれます。踊るシーンはないけども、一つ一つの身のこなしがダンスのように美しい。
Fresh Bloodでの変身シーン、Sheでの十字架突き刺すシーン、It's Overでの決闘シーン等での緩急激しい立ち回りから、ルーシーを操る怪しい指先、棺へ横たわる時の余韻、美しく翻るマント等、全身に神経張り詰めてる感じの繊細さで、会場の空気を一気に引き込む。
この激しさと繊細さの使い分けが、動作全体に雰囲気や余韻を含ませるので、ドラキュラのやり場のない怒りや悲しみが、随所から感じられるんですよね。

体幹が強いからか、何しても体の軸が全然ブレないのもすごい。Train Sequenceでどんなに棺が揺れてもびくともしないし、ルーシーが勢いよく飛びついてきても大木のように動じない。
そういえばエリザベートの結婚式シーンでターザンみたいに現れるトート様、ジュンスだけロープ片手持ちじゃないですか?ハーッハッハって大笑いしながら片手振るのがデフォだと思ってたけど、みんな両手でロープ握りしめてた。

あと三演で初めて気づいたんだけど、ブーケトス受け取るのって、難しいんですね?初演からブーケトスGET率100%のシャキュラばっかり観てたから、分からなかった。エラー率5割超のウリ本陣様、今日は成功したかなあ、と蚕室方面に思いをはせる毎日です。*2

・役への入り込み方がすごい

これまで演じた役で、一番思い入れが強い役は?と聞かれると、必ずドラキュラと答えるジュンス。うん、わかる。完全にドラキュラに入っちゃってる。
派手な見た目が注目されがちなシャキュラですが、一番惹きこまれるのが目の表情。いつも悲しくて寂しそうで、400年の絶望と孤独の影が感じられるんですよね。
エリザベスを失った怒りと悲しみから神を恨み、不死の罰を与えられたドラキュラ。世を捨てて、希望も楽しみもなく、人目を避けながらひっそり生きてきたんだろうなと。飢えに耐え切れずたまに人の血を拝借しつつも、ほとんどは動物の血とかで凌いでたんじゃないのかな。じゃないとあんなにヨボヨボにならないよね。知らんけど。

She~Loving You…では、そんなシャキュラの深い孤独と愛が溢れかえってて、何度観ても毎回胸が苦しくなります。

ミナ役のジョンウンさんがバラコン*3にゲスト出演した時、なぜいつもLoving You~で泣くんですか?とジュンスに聞かれて、「だってジュンスさんがあんなに切なく、ミナしかいないんだ、って訴えてくるから。ジュンスさんを見ると自然に涙が出ます」と話されてました。
ジュンスの演技で共演者の方々の熱が高まるのは、観てるとよく分かります。舞台上の熱量全体が上がって、観客も惹きこまれるあの感じ。会場全体が緊張感で一体になって、一気にはじける拍手喝采。生の舞台は観客も一緒に作るものだって、私が尊敬する日本の俳優さんがおっしゃってたんですけど、ジュンスの舞台は本当にそれだなといつも実感します。

 

以上、シャキュラ様のすごいところをご紹介させていただきました。
最初にジュンスで観てなかったら、ここまでドラキュラに嵌ってなかったと思う。
ジュンス、ドラキュラ演ってくれてありがとう。
ジュンスにドラキュラを演らせてくれた全ての関係者に、ありがとう。*4

また四演で、お待ちしています。

主演俳優のここが凄い~ドンキュラ(チョン・ドンソク)編

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はい来た本陣様。
2014年以来すっかりドラキュラ芸人と化した私、彼が本陣様になって以降、いつかドラキュラ演ってほしいと、念仏のように唱える日々でした。

だって、どう考えても、絶対合うじゃん?

ジョンハン先生の成功したオタクであるドンソク氏も、いつかは(先生の後を追って)ドラキュラ演りたいってずっと願っていた様子で、各種ミュージカルコンサート等でちょいちょいドラキュラナンバーを歌っていらっしゃいました。
昨年10月に行われたソロコンサートでも初日にLoving You~歌ってて、こりゃ2月からの登板ありうるのでは?とソワソワしてたら、2日目に「いつか出たいと思ってる作品から、昨日とは違う曲を…」ってFresh Bloodを歌い始めたので、期待が確信に変わっておりました。

そんなオタクの夢が叶った私たちのドンキュラ様は、やっぱり最高of最高でした。

・顔がいい

すみません、本陣様になると、語彙力が一気に低下します。
最初に観た日は、ほとんど内容を覚えてません。
とにかく、顔がいい。
Fresh Bloodでフード脱がされた瞬間から、記憶が飛んでいる。
このシーンって、スポットライトで顔をバーン!って照らすから、座席位置によっては顔が白飛びしちゃうんですけど、ライトのせいなのか、私の脳がバグってしまったからなのか、顔が発光してて眩しくて直視できなかった。

3時間、必死にもぎ取った前方席で、防振双眼鏡越しに、ずっと顔みてた。

黒髪に赤い瞳のドラキュラ様。
何度も何度も妄想してきたけど、実物はその一億倍美しい。

そして、186㎝の長身にドラキュラの衣装が映える。映えすぎる。
衣装合わせの時、俺の衣装すっげーかっこいい!!って興奮してMCジュノ*5に話したそうですが、フリルのブラウスも赤いサテンシャツもハイウエストの黒いパンツも、ロングコートも赤いマントも、全てが彼のためにあるといっても過言ではない。

エリックのマント(ファントム)もルドルフの皇族服(ラストキス)もビクターの軍服(フランケン)も好きだったけど、ドラキュラの衣装はダントツに好き。
赤と黒がこんなに似合う人、いる?

キャストによって違うドラキュラの衣装ですが、唯一不満なのは、ドンキュラだけパンツが革素材じゃなくて布なんですよね。革パンのドンキュラ、見たかった。
足長すぎるから革だと動きにくいとか、あるのかな。*6

自然発光する世界遺産の顔に、9頭身のスタイル。見た目だけでも充分に満足させてくれるドンキュラ様。眼福ってこういうことを言うんだね・・・

・声がいい

彼が祝福されているのは顔と身体だけじゃない。
声楽で鍛え上げた音域の広いバリトンボイスが、ドラキュラの楽曲に、めちゃくちゃ合ってる。
クラシックでもロックでも何でも歌いこなせるドンソク氏、ワイルドホーン作品の中でもロックテイスト強めのドラキュラの楽曲に、合わないはずがない。

シャキュラでは半音高くしてある楽曲ですが、ドンキュラは原曲どおり、低音強めの迫力ある音階でバリバリ攻めてくる。

若返り前のじいさん時代は、地に響く低音ボイスで不気味さを漂わせているドンキュラ。それが、Fresh Bloodで若返った瞬間、声も一気に若返るんですよね。
高さとか声質だけじゃなくて、声の響きが全然違う。

ヘドウィグん時も、ヘドウィグとトミーのWicked Little Townがそれぞれ見事に違っててボエーーってなってたんですが、どっかにスイッチがあって、そこで切り替えてるのかなってくらい、声全体の雰囲気が変わるんです。

ミナに歌いかける時は切なく甘く、レンフィールドに命じる時は気高く冷酷に、ヴァンヘルシングとの対決では強く激しく、音域が広いだけじゃなくて、歌唱表現が幅広い。

天は二物を与えずっていうけど、たくさん与えられてる人、ここにいます!!

もちろん、努力もあっての賜物には違いないんですけど。
天からの贈り物を、きちんと世の中にフィードバックしてくれている彼は、それだけで有難い存在であり、同じ時代に生を受けたことに、感謝せずにはいられないのです(真剣)


・小技がすごい

ドンソク氏って、その日のテンションで演技内容が結構違うんですけど、シーズン後半になるほど脂がのってきて、色々小技挟んでくるんですよね。*7

ドラキュラは前半シーズンでしか観られなかったので、各種SNSで感想を読み漁りつつ、妄想するしかないんですけど。

At Lastの時、ミナを抱きしめて「大丈夫だよ」って言ったとか、Master's Song rep.でレンフィールドに「お前はもう死んでいる(意訳)」って言ったとか、オタクを一言で殺すアドリブをちょいちょい出してくる。

で、私が唯一実際に観られた小技が、ルーシーの部屋で、ルーシーがドラキュラに抱き着いた後、抱っこしたルーシーの背中を優しくなでなでしているところ。

脳内爆発しました。

それはずるい!!!

フォロワーさんによると、多分毎回撫でてるけど、ルーシーの衣装が被るから、見えない時のほうが多いようです。
ちなみに、デカすぎるドンソク氏、飛びつく時に相当のジャンプ力が必要なようで、ルーシー役のキムスヨンさんが、感覚掴むためにドンキュラの時は事前練習するって言ってましたね(笑)

残すところあと僅かになった公演、きっと毎日エモい小技を生み出していることでしょう。今日も幕間と終演後の感想を漁って、妄想力を最大限にはばたかせます。If I Had Wings…TT

 

以上、一気に語彙力を喪失したドンキュラ様のご紹介でした。
私たちの長年の夢だったドラキュラを演ってくれて、心からありがとう。
そして希望を叶えたドンソク氏、心からおめでとう。最高だったよ!!
観に行けなかった友人のためにも、また絶対に四演登板お願いします!!!

 

最後に

コロナの影響で3週間の中断はあったものの、無事に4か月の公演を終えようとしているドラキュラ三演。
もう観に行けないってことが分かってきてからは、絶望と諦めから、公演が中止になったら私の心も落ち着くのかな、と思ったこともありました。
でも、舞台文化が虫の息になっている自国の状況を鑑みて、どうか最後まで無事に公演を続けられますようにと、祈るような気持ちに変わってきました。
この状況下で公演を継続し、出演者も観客も全員無事なまま幕を下ろせるなんて、偉業ですよね。一番感染が拡大していた時期に対策を徹底し、公演を継続してきたドラキュラ三演は、世界的にもとても意義深いものだと思います。
今はまだ何が正しいのかわからないけど、この公演から学べることは多いはず。
いつかまた自由に観劇できる日がくるまでは、遠くから公演の無事を祈り続けてます。

そして今回観られなかったリュキュラ様、ぜひ四演にも出て、感想書かせてください。

私はこれからもドラキュラ芸人の名に恥じぬよう、元気に働いてモリモリ食べてバリバリ飲んで、四演に備えたいと思います!

*1:韓国初演のエリザベートでブロンド短髪&黒爪のトートを登場させたことは有名。彼の影響かどうかは不明だが、今では東宝のトート様も黒爪。

*2:ジュンスの身体表現の高さが一番よく分かるのがカテコ写真。シャキュラはめっちゃ動きがあって色んな写真が上がるけど、うちの本陣様はほとんど動きがないので、ほぼ同じような写真になります。ダビデ像だから仕方ない。

*3:ジュンスが毎年年末に開催する、バラードとミュージカル曲で構成されたコンサート。通称バラコン。毎回ゲストが豪華。

*4:再演の時、ワイルドホーン夫妻と同じ日に観劇していた私と友人たちは、ワイルドホーン氏に涙目で駆け寄って感謝を伝えたのでした。危ないオタクだと思われたはず。

*5:ソンジュノ氏。ドンソク氏が心を開いている数少ない仲間の一人。コンサート等でいつも勝手にMCやる(しかも上手い)のでこう呼んでる。ドラキュラにもヴァンヘルシング役で出演。自分の衣装は1パターンだけなので拗ねたらしい。

*6:初めてドンキュラを観た韓国の人が、「足に終わりがない」って表現してました。

*7:フランケンの最後のシーンで「すぐ行くよ」とか「待ってて」とか呟いたのが代表的な例。

キム・ジュンスと私

観劇オタクの皆さん、生きてますか?
観劇が自分の日々をどれだけ支えてくれていたのか、労働への意欲を沸かせてくれていたのか。推しの皆さんの輝きが、私にとって人生の道しるべなんだと痛感する日々。

でも、こんな時だからこそ、私の輝く星の一人について、じっくりと語らせていただけますでしょうか。これまでの感謝の意味も込めて。

 

彼と私との出会いは、彼がまだアイドル全盛期の時。
歌うために生まれてきた人だ、と思いました。

日本のテレビでも見ない日はないくらいの絶頂期から一転、意図的に世界から消し去られ、消息すら分からない状況に陥っていたとき。
彼に再び歌う場所を与えてくれたのが、ミュージカルでした。

音楽に愛され、音楽に囚われ、それゆえ孤独だった天才音楽家の人生が、当時の彼の姿とぴったり重なって、彼を表舞台に呼び戻してくれた「ミュージカル」という存在に、心から感謝しました。

そんなわけで私の怒涛の韓ミュ人生の幕が切って落とされたのです。

最初はね、「彼を観たい」という動機だけだったんですよ。
だって、メディアには一切出られないし、当時はコンサートもできなかった。
彼に会うためには、韓国までミュージカル観に行くしかないんです。
「言葉もわからないのにミュージカル観て楽しいの?」ってよく聞かれてたけど、これがめっちゃ楽しかった。むしろ言葉が分からなくても、音楽だと伝わるから。

そんなこんなで回数重ねてるうちに、作品が好きになり、作曲家や演出家が好きになり、共演者が好きになり、共演者の共演者が好きになり、そのまた共演者が好きになり*1、沼が深く広く拡大していった結果、気が付けば今に至ります(雑)。

今、彼のファンですか?って聞かれたら、そりゃもちろん好きだけど、彼を観るためにっていう動機だけでは動かない。正直、兵役前までで一通りやり切った感があって。遠くで見守ってる家族みたいな、そんなスタンスに落ち着いています(その辺の話はまた機会があれば)。
なので、今は彼のことを一人のアーティストとして、客観的に観られるようになりました。

「好き!!」って気持ちが強いと、どうしても冷静に観られないんですよね。先入観ありまくりだから、演技がどうとか、歌がどうとか、作品がどうとか、言える状況にならない。好きな人しか見えないから、 全体感が掴めないんです。

彼が兵役で舞台を離れた2年弱の間、本当にたくさんの舞台を観ました。ミュージカルだけでなく、ストプレやバレエや歌舞伎まで、ジャンルや言語を問わず、とにかくたくさん。
この2年弱で、私の「観客力」、めっちゃ上がったと思う。
演技の巧拙や俳優が作る空気感の違いが分かってきたり、各劇場の音響やオケの巧拙が気になってきたり、座席ごとの見やすさの差がインプットされてきたり、チケッティング能力が上がったり。
後半のはおいといて、とにかく舞台を観る力が格段についたのを実感したんですよ。

そんなレベルアップしたオタクが、客観的かつ冷静に彼を観られるようになった状態で、数年ぶりに彼の舞台を観たわけです。
2019年冬、ソウルのブルースクエアにて。大好きな「エリザベート」。

びっくりした。
びっくりした(リプライズ)。
え。なにこれ。

私ね、エリザベート大好きなんです。
彼のおかげで韓国初演から何度も観てるってのもあるけど、とにかく曲が大好きで、東宝版も宝塚版もウィーン版も、いろんなキャストで観てきた。
もちろん、彼が出てる回を一番観てる。はずなんだけど、

初めて観たような衝撃。
私、今まで何を感じながら、これ観てたんだろう?

彼が登場した途端、一瞬で変わる舞台の空気。
頭のてっぺんからつま先まで張り詰めた緊張感。
目線、表情、歩くリズム、そして魂を削るような歌と演技。

スパルタ観劇のおかげでたくさんの凄い俳優さんに出会えたけど、こんな人は初めてだ。

キム・ジュンス恐ろしい子・・・!

ジュンスと共演した俳優さんがよく「ジュンスは毎回、明日がないみたいに(すごい熱量で)演技する」って話すんですけどね。
ジュンス自身も「今日僕の舞台に来てくれた人はこれが最初で最後の一回かもしれない、その人のためにも毎回全力で演じる」的なことをよく話すんですけど、それってこういうことだったのかと。
とにかく、こんなに毎回全身全霊で演じる俳優、他にいないです。まさに、魂削ってる。
これはジュンスの並外れた体力のおかげもあると思うけど*2
仕事としてではなく、心から音楽を、ミュージカルを愛してて、舞台に感謝しながら演じてる。
一度その場所を失ったからこそ、今こうして歌うことができる奇跡を感じてる。
ジュンスにとっては舞台で歌うこと=生きることなのだと思います。

ジュンスの凄さはその後の「エクスカリバー」でも痛感しました。
あのどでかい会場*3の空気をここまで支配できる人、他にいる?
今絶賛上演中の「ドラキュラ」も然り。全身からほとばしる魂の叫び。赤く染めた髪の毛から流れ落ちる赤い汗がさながら血の涙のようで、400年という絶望的な孤独の闇が見えるようで、切なさで身が焦がれて瀕死状態になりました。

正直、歌とか演技とかで言えば、他にもっと上手な人はたくさんいる。
ジュンスの声は好き嫌いも分かれると思う。
ミュージカルデビュー10年経った今でも「アイドルでしょ」って色眼鏡で見てる人もたくさんいるし、現地のミュージカルファンは彼を煙たがってる人も多い。

でもね、観劇好きな人にこそ、ジュンスの舞台をぜひ一回観てみてほしい。
ミュージカルの枠にとらわれない、自由な役の解釈を体感してほしい。
生きる場所を与えてくれた舞台に感謝しながら、明日がないように演じる姿を実感してほしい。
観劇慣れしてる人だからこそ、何かしら感じるものが絶対にあるはず。
オタクレベルが上がった私が、再び彼の凄さに気づいたように。

話は変わりますが、ジュンスの舞台は観客側の緊張感もなかなかのもんです。
ジュンスと共に観劇スキルを上げてきた猛者たちは、観劇中微動だにしません。
双眼鏡の操作にも一切の無駄がない。
よく、アイドルが出る舞台は観劇慣れしてない人が多いからマナーが悪いって話を聞くけど、ジュンスの舞台については、ほぼ心配ご無用です。


というわけで、ジュンスのミュージカルデビュー作「モーツァルト!」が6月からソウルの世宗文化会館で開幕いたします。ジュンスのデビューと共に幕を開けて10周年となる今年、またシャチャルトに会える・・・!!

ウィルスなんかに負けてる場合じゃないです。一刻も早く世界が平穏になって、気軽にオタク生活ができる日常が戻りますよう。

「僕こそ音楽」、キム・ジュンス
私をこの沼に引きずり込んでくれてありがとう。
これからも新しい世界を見せてください。

*1:ジュンスの共演者、当時はわからなかったけど、ものすごく豪華ですよね。今の本陣様に出会えたのも、元をたどればジュンスのおかげ。チンシムロカムサハムニダ

*2:「今まで体のどこかが痛いと感じたことがない」って直近のバラコンで話してた。万年肩凝りの私にしたら信じられない。あと、JYJのワールドツアーと並行してドラキュラマチソワやって、空いてる時間にサッカーやってた。ジュンスは3人くらいいると思ってた2014年。

*3:世宗文化会館。縦横に猛烈にデカい。舞台の奥行も半端ない。なのに座席間隔が極端に狭いので膝を強打しがち。ちなみに私のお勧め席は2階後方。

ジキハイと私

この冬韓国で一番の話題作と言われている「ジキルとハイド」。
何が話題って、そのキャストの豪華さに他ならない。
チョ・スンウ重要無形文化財
ホン・グァンホ(声が波動拳
パク・ウンテ(神)

の三俳優様によるトリプルキャスト!
主催自ら「最高のキャスティング」って言っちゃってるだけある。
その割に劇場のキャパが小さいので、血ケッティングもまれにみる熾烈さ。
血みどろになりながらもこの年末年始、何とか全キャスト観ることができたので、簡単に記録を残したいと思います。

ストーリーは簡単にご紹介するとこんな感じ。


え?なんで?ってつっこみ始めるとキリがない話ではありますが、ワイルドホーン御大の名曲と豪華俳優陣の歌唱力でなぜか最後にはものすごい満足感で満たされる作品。

見どころは一人の俳優による善(ジキル)と悪(ハイド)の演じ分け。
これができる俳優が存在してこそ成立する演目なので、韓国では、ジキハイはミュージカル俳優の一つの到達点だといわれております。

ついでに人物相関図置いときますね。登場人物少ないから覚えやすいです。(写真はお気に入りキャスト)

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 前置き長くなりましたが、ここからは5月までの主役3人についての感想を。

1.チョ・スンウ(チョジキル)

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韓国でジキハイといえばチョスンウ、チョスンウといえばジキハイ。
この人が演ってなかったらジキハイがここまでの人気にならなかったはず。
ドラマや映画でも数多く主演してて知名度抜群な実力派俳優さんなので、とにかくチケットが取れない*1。「しばらくミュージカルはやらない」って宣言してた後の復帰作なので、いつもより取れない。更に会場が狭いので輪をかけて取れない。会場に入るたびに「これがあの激戦を勝ち抜いた猛者たちか…」という眼差しで客席を眺めてしまう。
実力主義の韓国でこれだけの人気を誇るスンウ先輩、とにかく演技力がすごい。小道具の使い方とか、間の取り方、目線、背中を向けていてもひしひしと伝わってくる感情。
一人の人間の中には善と悪とが存在していて、それが常に葛藤しながら人格を作っているという、当たり前だけどとても難しい哲学的なテーマを、これほど体現できる俳優が他にいるでしょうか。しかも歌に乗せて表現するんですよ?チョジキルは喋ってたかと思うといつの間にか歌いだしている。台詞と歌がシームレス。「今から歌うぜ?」的な構えが一切ない。多分タモさんもチョジキル観たらミュージカル好きになってくれるはず。
ジキハイは有名な曲が多いけど、台詞も多くて演劇要素が強いので、歌だけじゃなくてかなりの演技力が問われると思うんです。余白が多いストーリだから、余計に主役の力量で出来不出来が変わるんじゃないかと。それを初演からずっと満員御礼で続けているスンウ先輩、本当にすごい。チョジキル=重要無形文化財
観る方も必死なので、特に”チグミスンガン”(This Is The Moment)に入る前の緊張感が半端ない。客席全員が姿勢を正して固唾を飲むのがわかる。多分ニコ動だったら「チョスンウのチグミスンガンキターーーーーーーー!!!!!」って一斉に書き込まれるやつ。ちなみにスンウ先輩は「チグム イスンガン」ってリエゾンさせないで歌うんですけど、ジキルの決意がすごく感じられて好きです。ほんとにこういう細かいところな。

あとは何といっても”Confrontation"。ジキルとハイドの対決を右半身と左半身で交互に演じ分ける、ジキハイのクライマックス。照明とともに一瞬で切り替わるジキル/ハイド、顔つきも歌声も存在感さえもガラッと変化。でも、別人ではない。一人の人間の人格の葛藤。3年前に初めて観たとき、え?は??ナニコレ??!!ナニコレスゲエ!!!!!ってものすごい混乱で打ちのめされて飲み込めないまま終わったんですけど、まあ今回も飲み込めないうちに終わってました。
Youtubeでも観れるし、映像でも十分すごいけど、生はその1億倍すごいので、全世界の人が生きているうちに1度は観た方がいいです。チケット取れないけどな。
あとスンウ先輩、引き出し多すぎて毎回ちょっとずつ演技違うらしいので、オタクにとっては完全に沼案件です。チケット取れないけどな。

2.ホン・グァンホ(ホンジキル)

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ホンジキル、ついに帰還。
ホンさんのジキル観たかったなあ、いつかまたやってくれないかなあと念仏のように唱えていたくらい、待ちに待ったホンジキル。すげーんだろうな、びっくりするんだろうな、って思いながら観に行ったら想像の1億倍凄くて死んだ。
ホンジキル(変身前)はオタクっぽくて若干キモめ。婚約式でエマと別れる時とかやたらデュフデュフ言っててめっちゃキモい。研究一筋の医学オタクって感じ。
もちろんキモくても歌は絶品で、呟くように歌ってるのにものすごい声量。チグミスンガン終わりのどこまでも伸びるロングトーンとか、気づいたら口開けて観てました。毎曲歌い終わるたびにショーストップ状態で、客席からすげーすげーって声が上がるのも仕方ない。
一転、ハイドに変身してからの狂った野獣感。世界一獰猛なゴリラ。エンパイアステートビルの頂上で暴れるやつ。(褒めてます)
生で彼の声を聴いたことがある方ならわかると思いますが、もうね、会場が声の波動で震えるんですよ。私は2階のほぼ一番後ろで観てたんですけど、”Alive”に入る時の雄叫びの波動でビリビリって電気が走って、全身総毛立ちしました。ホンさん、声で人殺せると思う。

ちなみにハイドが「自由ーーーーー!!」って叫ぶところ、オクエリの”私だけに”を思い出して「韓国2大ゴリラ…!」って思ってしまった(ものすごく褒めています)。
ハイドは変身後に毛皮羽織ってるんですけど、毛皮羽織った姿がまさに野獣。1幕終わりでロリコン司教様の頭を掴んで「偽善者!偽善者!偽善者!」って地面に叩きつけた後、アルコールぶっかけて焼き殺す(狂気)ところとか、完全に怒れるキングコング。しかも自分の胸を叩く仕草をよくやるので、そっちに寄せてるとしか思えない。

でもホンハイド、こんなに狂ってるのに、どこか悲しそう。ルーシーを射すときも静かに涙を流してて、愛してるのに受け入れてもらえないっていう絶望を感じました。
ミスサイゴンのトゥイもそんな役でしたよね。こういう報われない役がハマるのかも。ぜひまたオペラ座をお願いしたい!
ホンジキルは終演を待たずに3/10で先に上がってしまうので、まだ観ていない方には一日も早く蚕室に向かうことをお勧めします。そして全身に波動拳を浴びてボロボロになってください。チョジキルの次にチケット取れないけどな!

3.パク・ウンテ(ウンジキル)

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再び、ウンテ神が、狂気を見せる、時が、来たーーーー!
また出てくれると信じてました!!!ありがとう!
普段の穏やかさとか後光射してる感じからは想像できないけど、ウンテ神のハイドは彼にしか出せない狂った色気がもうたまらんのですよ。アンリ(フランケン)とはまた違う、完全に邪悪な存在。神が悪になるってどういうことよ?振り幅すごいな?
ウンジキル(変身前)は絵に描いたような育ちのいいイギリス紳士。立ち居振る舞いも美しく、婚約式でエマの元を立ち去るときも、いったん掃けようとしてから「ちょっと待って」ってエマのところに戻ってからの手の甲にキスですよ。ホンジキルがデュフデュフ言いながらジョンに無理やり連れていかれるのと同じシーンですよ?素敵さ爆発。歌声も気高くて高貴さに溢れてる。多分全寮制の有名男子校出身。
そんな英国紳士の中に、あんなに極悪エロ野郎が隠れているなんて…(わなわなしながらも萌え)。
変身した途端、ボタンを飛ばしながらシャツの前を開け放つウンハイド。カプチャギッ!あの逞しい胸板がッ!目の前にッッ!!!これ、3年前は途中まで開ける程度だった気がするんですけど、違いましたっけ?雄叫び上げながらシャツ破って胸板出すなんてウンテさんにしかできない所業。(今後ミンハイドには期待大。)推しの突然の変身で、心と体の反応がおかしくなってしまって、自分でも気づかぬうちに大量の涙を流してた私。1幕終わりにニットの胸元が濡れててびっくりしました。
ウンハイドは一転、ドスが効いた低い恐ろしい声で偽善者達を追い詰めながら抹殺していく。目がいっちゃっててめっちゃ怖い。普段優しい人って切れたら怖いよね。まさにあれ。
しかも怖いのにすごい色気。ステッキ(凶器)を持つ指からフェロモンが溢れておる。”Dangerous Game"での手の動きと悪い顔とか絶対18禁でしょ?とにかくドSっぷりがすごい。雷鳴と同時にルーシーの部屋に現れたときの「ネ サラン ル~シ~↺」ってドスを効かせつつの猫なで声。たまらん。ウンハイド様、好きです…
1回の舞台で正反対の役柄観れるなんて、ジキハイってなんて贅沢な演目なんでしょう。でも演じる方にとっては辛いだろうな。アンリも相当なもんだけど、ジキハイもなかなかの重さですよね。大変だけど5月まで続投してくれることを期待してます!

以上、3ジキルのご紹介&感想でした。今回もとりとめのない内容で失礼しました。
それにしても、エリザの時も書いたけど、こんなに難しい役をトリプルキャスト(3月から+2キャスト)で回せる韓国ミュージカル界の層の厚さ、本当にすごいですね?

3月からは本陣様が合流するので、命続く限り蚕室に通う覚悟で仕事と体調管理に努めたいと思います。

 

*1:3大激戦血ケッティング;チョスンウ、パクヒョシン、キムジュンス(私調べ)

エリザベートと私

こんにちは。ようやく北極から戻ってきました。エリザベート(韓国)を観るために。

2012年の韓国初演で出会ってから、私を本格的に韓ミュの世界に導いてくれた、思い入れが深い作品。

その間にウィーン版・宝塚版・東宝版の色んなキャストを観て、それぞれの演出や歌詞の違いにほ~!と思ったり、タイトルロールに愕然とさせられたり(←)、それぞれ好きなところも好みじゃないところもあるものの、やっぱり韓国版が私の原点です。

今回の年末年始で2018-19年キャストをほぼ全員観ることができたので、記憶が新しいうちにエリザベート役3人の感想を簡単に残しておきたいと思います。

※レーダーチャートは個人的見解ですのでご了承ください。

 

1.オク・ジュヒョン(オクエリ)

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初演からタイトルロールを演じている女帝様。
韓国ではエリザベートといえばオクエリと言われるほどの絶対的存在。
無邪気で自由奔放、プライドが高くてワガママで自己中心的、とにかくめっちゃメンタル強い。
少女時代の無邪気さから自我が目覚める中盤、死を求める終盤までを歌い分ける声色と、爆発的な声量。もうね、この人のシシィを最初に観てしまった私は、他のシシィでは満足できない不幸な体になってしまいました。
霊長類最強シシィ。これに勝てるトートほとんどいない。むしろトート殺しちゃう系。

今回のオクエリ様は今までのゴリシシィにさらに情熱が加わっていて、めっちゃエモかったです。「私だけに」に入るまでの間の取り方とか、精神病院とか、ルドルフの葬儀の時とか、人間としての葛藤もすごく感じられて、歌声から感じる圧がすごい。
これだけ強くてエモいシシィだからこそ、最後に掴み取った自由=死ってところが、すごく説得力あると思うんです。
ツイでも書いたけど、この人が演じると「エリザベート」が「マッドマックス怒りのデスロード」になるんですよ。それが大好き。タイトルロールなんだもの、そうでないとな!
シアペン由来の私としては色々あって公に好きだといいにくい状況にありましたが、もう大丈夫だよね?やっぱりこの人のシシィが私の原点です。生きてる限りエリザやってください。
(2016年のバラコン来てくれて本当にありがとう。当時東宝エリザでモヤモヤしてた私のエリザ熱をオクエリ様が昇華してくださいました。)

 

2.キム・ソヒョン(ソエリ)

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2013年の再演依頼、2度目のご出演になるソエリ様。
見た目の可憐さはこれまでの韓国シシィでもダントツ。かわいい。すごくかわいい。
年齢知った時びっくりした(バラコンでジュンスも言ってましたねw)。どうやったらいつまでもそんなに可愛くいられるんですか…
そして見た目の可憐さとは裏腹の圧倒的な歌唱力。オペラ出身だけあって高音の音域がすばらしい。ファントムのクリスティーヌもすごくよかった(ビストロ!)。ソエリの「私だけに」のオクターブ上げは何回聞いても鳥肌ものです。
ソエリは、無垢で純真な少女が運命に翻弄されながらも強く成長し、生きていくっていう、おしんエリザベート。晩年まで可憐さを失わないのが、死に向かっていく姿に逆行してて逆に痛々しい。可愛さとかちょっと鼻にかかった高い声とか、宝塚エリザ好きな方はきっと好きなはず。

どうでもいいけど、舞台上で夫婦共演するのってどんな気持ちなんでしょうね。(※今回フランツ役のソンジュノさんとは実際のご夫婦。)特にボートとか複雑な気持ちで観てしまうwwwいつも夫婦仲良さそうでほほえましい限りです。うちの本陣様をいつも面倒みていただいてありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

 

2.シン・ヨンスク(シンエリ)

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今回初の登板となるシンエリ様。
これまではモーツァルト!の男爵夫人とかレベッカのダンバース夫人とかファントムのカルロッタとか、いわゆるサブの強め女性キャストを演じることが多かった彼女が、ついに、エリザベートに、キターーー!
彼女の、獅子が子を谷底に突き落とす系黄金星がめっちゃ好きなので、今回すごく楽しみにしてました。予想通りの生命力溢れるシシィ。オクエリ様とは違う、殺しても死なない方向の生命力。歌詞で何度も出てくる「私の主人は私」ってのがめっちゃしっくりくる。
シンエリの売りは高音の爆発的な伸びなので「私だけに」がよかったのはもちろんなんだけど、他の役では聴いたことがない、晩年の深みある落ち着いた声が、悲しみを湛えててとてもよかった。昔キャッツでグリザベラ演ってたと知って納得(メモリー聴いてみたい!)。
タイトルロールを演じたことで、これからもっと役の幅広がりそうで楽しみです。今年はまたレベッカかな?

以上、2018-19年韓国3シシィの感想でした。
それにしても、これだけシシィ演れる女優さんがいる韓国ってすごいな?他にもたくさん候補いるし。個人的にはソニョンさんにもう一回演ってほしい!情炎系シシィをもう一度!!
 

フランケンシュタインと私

私は今、東京に向かう新幹線こだまの中に閉じ込められています。人身事故だそうです。動く気配なし。こだまって、車内販売無いんですね。知らなかった。腹減って死にそう。バッグの中に奇跡的に1個だけ入っていたカントリーマアムで凌いでます。

やることがないので、気晴らしにブログを書こうと思い立ちました。

既にソウル公演を終え、数回の地方公演を残すのみとなった2018年の韓国フランケンシュタイン。通い詰める系ヲタクなので、自制心を働かせてなるべく後半に初回を観る癖がある私ですが、まんまと7月後半から追い上げて全キャストコンプリートしました。最初からそうなる予感はしてた。

全組み合わせを見られなかったのが非常に心残りではありますが、キャスト別の感想や萌えポイントなどを備忘録として残しておきたいと思います。

ちなみに、私が観た組み合わせ表はこちら。推しに偏っているのは致し方なし。
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 ■(ビクター)リュ・ジョンハン

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動画では見たことあったけど、初めましてのジョンハン先生。
ビクターはジョンハン先生の当て書きだって話もありますが、納得のはまり役。
圧倒的な声量と低音の響きの美しさ。さすが皇帝。
3キャストでは一番大人でインテリなビクターだと思いました。自分の権力と才能を充分理解してて、周囲の人間を見下してる感じ。「ただ一つの未来」で、アンリの言葉を「アニ!」って遮るとことか、自分が絶対だと思ってそう。人を理論武装でねじ伏せる感じ。口喧嘩では絶対勝てないと思う。

リーマン界に例えると、若くして時期社長候補と噂され、派手なネクタイつけて会社で取り巻き連れて歩いてる嫌なヤツ。仕事もできるけど根回しも抜群。絶対社内不倫してるだろ、みたいな。

ただ、そんなインテリにも苦手なことはあるようで、手足を一生懸命カクカクジタバタする様子(ダンス…?)にギャップ萌え。
対極的に、ジャックは徹底的にバカで小者。3キャストでダントツ頭弱そう。1つの劇中でこの演じ分けが観られるなんて、本当にフランケンって贅沢な演目。
ラストに向かって精神崩壊していく様は見てるだけで辛かった。他キャストと違って、まさに狂うって感じ。北極の叫び声で猫ひろしを連想してしまった私をお赦しください。
あと、生で見てびっくりしたのが、意外に小柄なんですね。声質的に大きい人だと思ってた。あの身体からなんであんな声量が生まれるのか。
とにかく男にもてるジョンハン先生、きっとご本人は面倒見の良い兄貴肌なんだと思います。私もリュラインに入りたい。シラノではプロディーサーデビューもしたし、韓ミュ界ではこれからも皇帝として君臨し続けることでしょう。弟たちのこと、よろしくお願いします。

■(ビクター)ミン・ウヒョク

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こちらも初めましてのミン・ウヒョクさん。元野球選手という情報のみで初鑑賞。
一目見て思ったことは「デカくてゴツい」。軍服の威圧感がすごい。きっとたくさん武勲をあげたんだろうなと思わせる迫力。ワーテルローで銃をクルクルと回して腰にしまってたけど、見た目によらず器用なのね。
そしてガテン系の見た目を裏切らず、とにかく熱い。またの名を修造ビクター。常に赤い炎を纏っていらっしゃる。冒頭の実験室で、横たわる怪物へ振り下ろされる「チェバル!(殴)イロ!!(殴)ナ!!!(殴)」の熱い拳。なんかの必殺技みたい。
ツイでよく大型犬みたいって言われてたけど、本当にそれ。ゴールデンレトリバーとか、セントバーナードみたいな。酒場でバウバウ!って吠えてたから、ご本人が自覚されてたのか(もしくはエゴサしてたのか)。チサンアンリとの組み合わせは、まさに大型犬と小型犬。モフモフじゃれあってる感じがたまらない。
嫌な奴感はあんまりなく、わりと真っ直ぐ育って、男友達多そうな感じのビクター。部下からも慕われてる。責任は俺がとるから、失敗を恐れるな!とか言いそう。そしてよく奢ってくれる。飲みすぎて終電逃して駅で寝ちゃうタイプ。(ちなみにリュビクならタクシーで帰るし、ドンビクは飲み会の途中で勝手に帰っちゃう。)

なのに、歌声が繊細なの、反則じゃない?ちょっと鼻にかかった包容力ある声で、感情豊かに歌われた日にゃもう「はあ?なにこれ!!!」ってなるわけですよ。声質的とか音域的にアンリの曲が合いそうと思ってたんだけど、先日のファンタスティックミュージカルコンサートで「君の夢の中で」を聴いて涙腺崩壊。それ反則だよ。1人フランケンシュタインやってくれないかしら。「Loving you keeps me Alive」もとってもよかった。

彼の熱さは北極でも止まるところを知らず、私が観たミン×カイ回では、すさまじい激闘のせいで銃が遥か下手に飛んでしまって、銃を見失ったカイケムルがナイフでとどめ刺そうとしてました。手加減知らず。
これ、ミン×ミンだと相当熱い舞台だったことでしょうね。え?これ天下一武道会?ってね。

ご本人がとにかく優しくてファン思いなのは、前述のミュコンで非常によく伝わりました。インスタも頻繁に更新してくれるし、コメントにはいいねしてくれるし、自分のタグついてる投稿にもいいねしてくれちゃう。心配になるくらいいい人。ウヒョクさんのファンは幸せですね。
ドラマにも出演したり活躍の場が広がってるけど、ミュージカルも引き続きよろしくお願いします。来年のベンハー再演ももちろん期待してますが、繊細な役も観てみたいです。

■(ビクター)チョン・ドンソク

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 来ました、ドンソク皇子。ちょっと長くなると思いますがご了承ください。
まず、私は横顔が美しい人が大好物です。次に、低音でノーブルな声が大好物です。そして、軍服とかロングコートとかマント系が大好物です。つまり、私の理想が3次元になってそこにあるのがドンビクです。同じ時代に生きてくれてありがとう。

高貴な見た目と甘く響くバリトンボイスで、主にハプスブルク家御用達のドンソクさん。昨年末はルドルフ(@ラストキス)、一昨年末には怪人(@ファントム)としてお会いしている、ウンテ神と並ぶ私の年越しアイコンです。今年の年末は「死」でお会いしたかった。もはやかなわぬ夢でしょうか。

そんなドンビクは、見た目の美しさに裏打ちされた自信と傲慢さに、絶対的な説得力があります。3キャスト中、ひねくれ度No.1。ミンビクが赤い炎なら、ドンビクは青い炎。冷酷なマッドサイエンティスト。めっちゃ根暗。きっと他人のことは誰も信じてない。(例外はルンゲくらい?)アンリのことも最初は自分の道具くらいにしか思ってないし、エレンですら自分を捨てた奴とか思ってそう。
そして自分の魅力を充分に理解してるから、アンリの頬を撫でながら「お願いだ、友よ」とか言っちゃう。あんな人にあんな風に言われて落ちない人間がいますか!そりゃアンリも友達以上に思っちゃうよ。
でも、きっと誰よりも愛に飢えてる。寂しさを隠すために強がってる感じ。そこがきっと、アンリの庇護欲をくすぐったのではないかと。嫌な奴だと後ろ指刺されながらも、人を惹きつける力がすごい、それがドンビク。
1幕の自信たっぷり傍若無人な雰囲気があるからこそ、終盤に向かってボロボロになっていく様が痛々しい。「♪君の夢の中で」で泣き崩れるところとか、エレンとのお別れリプライズのシーンとか、ケムルに「お願いだから殺してくれ」って泣きすがるところとか、子供みたいに無防備なんですよね。強がってたのに、どんどん子供に戻っていく。自分一人で生きてきたつもりだったのに、周りに支えられて生きてきたことにようやく気づいて、でも気づいたときにはみんないなくなってるという絶望。
「♪後悔」から漂う悲壮感は、アンリに殺してもらうために北極に行くっていう決意が感じられる。「♪後悔」は3キャストで演じ方の方向性が違っててすごく興味深かったです。ミンビクは、敵である怪物を倒しに行くんだって感じだったし、リュビクは自分の過ちに決着を付けに行くんだって感じだった。同じ曲なのに、これだけ受ける印象が違うのがすごい。
そしてドンビクの凄さといえば、他の追随を許さない圧巻の歌唱力。何があっても絶対ブレない歌声。話が外れますが、ファンタスティックミュコンで「魔王」を聴いて腰抜けそうになりました。歌唱力だけじゃなくて表現力も凄い。恐ろしい子…!
ドンビクの「♪偉大なる~」は、彼にしかできない所業ですね。生首掲げて歌い始める、どこまでも伸びる低音から、オクターブ上げシャウトでハンドル(?)回転させるところまで、よくあれだけ動きまわりながら色んな声が出せるもんだ。
喉が強い(←千鳥ノブ風に)。
この曲だけでチケ代の元が取れるので、ドンビク回は実質タダだと思います。
ちなみに「♪偉大なる~」のドンビクで私が好きなシーンは、ベッドの上に立ち上がって「生命は所詮偶然の産物」って歌いながら天と地を指すところです。(伝われ!)

もう一つの凄さといえば、ビジュアルショック・ドンジャックですね。
舞台降りたら超シャイになる彼、前にインタビューで「あれは僕ではありません」って言ってたけど、絶対楽しんでるよね?ドンジャックだけに許される「可愛い」という絶対正義。髪の毛を指先でクルクルしたり、ほっぺをぷっくり膨らませたり、ちょっと拗ねた顔してみたり、ああいう技はどこでどうやって習得するんですか?私、長年女子やってるけど、一つも習得できてないよ?

ドンジャックは歪んだ狂気を感じさせるヒステリックさもツボ。笑いながら人殺しちゃうみたいな。エバとの絡みだとMっぽいけど、本質は多分S。キレどころが分からない怖さ。へなちょこダンスもエバや手下たちとの絡みも、見どころが多すぎてここだけでチケ代の元が取れる。できることなら、「クレドチョア(ド低音)」を毎日寝る前に聴きたい。寝れんわ。

もう一つ、どうしても言っておきたいのが、2幕冒頭の結婚式。
甘い。えげつなく甘い。1幕終わりの絶望感がすべて吹っ飛ぶようなお花畑が見える。劇の流れとしてどうとかそういうのは置いといて、このシーンの復活に尽力いただいたすべての方々、チンシムロカムサハムニダ
歌いかけるジュリアを、くるくる表情を変えながら見つめるドンビク。指輪を自分の胸に当てるドンビク。ジュリアの手にキスして跪いて指輪をはめるドンビク。あれ?皇太子様?ここLGアートホールだっけ…?
私が観た中で一回だけ「愛いやつめ!」(©王家の紋章)って表情をしたんですが、周囲からフォオオォって声が上がってた(し、きっと私も声が漏れてた)。まじで死人が出るから程々でお願いしたい。この場面を凝視するために、毎回下手寄りの席を取っていたといっても過言ではありません。結婚式観ると生きててよかったと思うし、ここだけでチケット代の元が(略)

ドンビクだけは全アンリとの組み合わせを観られたんですが、4アンリとの関係性がそれぞれ全く違うのが面白かった。神の罰ドン×ウン、俺たち友達ドン×ミン、乙女の夢ドン×チサ、ストイックなドン×カイ。年末の演技大賞で、全てにベストカップル賞を与えたい。きっと12通りの組み合わせごとに、それぞれの化学反応が見られたんでしょうね。主役級の俳優が二人キャスティングされるフランケンならではの贅沢さ。

トートもエリックもルドルフもそうだけど、影のある役を演らせたら世界一のドンソク皇子。いつかぜひドラキュラを観てみたい。スペシャルゲスト、チサンジョナタンとのFresh Bloodとかね、想像だけで白飯3杯はいけますね。

最近はファンカフェのゴタゴタで写真も動画も見られなくなったのが残念です。私は根がシアペンなので、高画質写真や動画に囲まれたペン活が当たり前だと思ってたんですが、ドンソク皇子については公演がないと生きてるか死んでるかもわからない。8年ぶり位に、DCゲルを覗き見る日々を送ってます。

ちなみにドンソク皇子は「ジョンハン先生の最も成功したサセン」と言われてる、リュラインのマンネです。先生の公演には必ず目撃情報が上がり、先生のご結婚までは公認カップルでありました。幸あれ!そして次回作はよ!!

※シアペン=キムジュンスのファンの呼称。ちなみに正確にいうと私はユスペンです。
※サセン=私生活まで追っかけるやらかしファンを指す。

※マンネ=末っ子。もう1人のリュラインはシンソンロク様。豪華。

 ■(アンリ/怪物)パク・ウンテ

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神の子、パク・ジーザス・ウンテ。ここも多分長くなります。
どんな役やってても神々しさを隠せない。聖なる声、柔らかな指の動き、美しい涙。私が最初に堕ちた韓ミュ俳優さんです。
彼は生きてる次元が違うので、ウンアンリは他のアンリとは方向性が全く違います。
怪物なんかじゃない。生命の摂理に背いたビクターを罰するために、神から遣わされた使徒。ハレルヤ!

私は2015年のドン×ウンを見逃したのを3年間後悔し続けていて、再演のニュースを聞いてからずっとソウル方面に念を送り続けていたので、出演の一報を聞いたときは飛び上がって喜びました。
一足早くアメリカ方面(@蚕室)に旅立たれてしまったのでドンビクとの1回しか観られなかったんですが、この1回が強烈な印象を残してくれました。

1幕ではビクターを優しく見守る聖母。目が慈愛に満ち溢れてる。酔いつぶれたビクターを介抱する仕草とか、面会に来たビクターに「来たのか」って呼びかける声とか、概念としての「愛」そのもの。子供っぽく傲慢なドンビク相手だから、際立ってそう見えたのかもしれない。
そして何といっても「♪君の夢の中で」。泣き崩れるビクターの頭をそっと抱き、死んでも後悔なんてしない、幸せだ、君の夢の中で生きられるのだから…って、一筋の涙を流しながら静かに微笑を浮かべるウンアンリ。まさにアガペー。哀しくも神々しい。断頭台に上る背中に光背が見えた。ビクターが生命創造しなくても3日後に生き返ったかもしれない。

慈愛の1幕から一転、2幕の怪物から感じられる憤怒。「♪そこには」のカトリーヌとのシーンで自分がアンリだったことをはっきり思い出した風だったけど、「♪私は怪物」では、ビクターへの個人的な恨みというより、愛を裏切った者への罰、生命を弄んだ者への怒りが強い気がしました。
ウンアンリを観て考えさせられたのが、神に背くビクターの考えに反対していたアンリが、なぜビクターに協力したのか。人類の未来を拓くというビクターの論理に共感したから?いや、きっとウンアンリの信念は変わらなかったんじゃないか、そこには倫理を超えた「愛」があったんじゃないかと思ってしまうのです。
「♪ただ一つの未来」の最後、握手を交わした手をじっと見つめる仕草からも、そんな逡巡がアンリの中にあるんじゃないかと深読みしてしまいました。
その「愛」への裏切りが、神の怒りとなって現れたのがウンケムルじゃないかと。ウンテさんが演じるからこそ成り立つ考察ですが…。

だとしたらビクターの死は贖罪ですよね。でもそれを赦さないウンケムル。それだけ彼の罪は重いのだと。生命創造装置を破壊されて絶望し、お願いだから殺してくれと手を擦り合わせて頼むドンビクに、梯子の上から「まだ駄目だ」と言い放つウンケムル。旧約聖書の宗教画みたい。(題名「神の裁き」)

自分が死ぬことで、ビクターに最後の裁きを与えたウンケムルは、あの慈愛に満ちた目に戻ってました。ミケランジェロピエタみたいな構図で(マリアとキリストが逆だけど)。ああ、書きながら思い出して本当に辛い。毎回泣いてるけど、多分一番泣いた回でした。

ウンテさん、マッコン後に、この役は本当に演じるのが辛いから引き受けるのも迷ったみたいなことをお話しされてたけど、そうでしょうね。マディソンの練習と掛け持ちしながらだし、精神的にも肉体的にも相当な負担だったはず。出演してくれてチンシムロカムサハムニダ

ウンテさんは奥様がマメにインスタ更新してくださるので、家で子守歌歌う神とか、運動会でハッスルする神とか、わりと頻繁に神の日常を垣間見ることができます。ありがたや。
そして、ウヒョクさんに負けないファン思い。まさに「神対応」。世界一優しい「クレヨ」を発するウンテ神。JCSの再演お待ちしてます!その前にジキハイ楽しみ。

■(アンリ/怪物)パク・ミンソン 

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またまたフランケンで初めましてのパク・ミンソンさん。
パク・ソンファン名義で日本でも活躍されていたんですね。サイゴン観てないから知らなかった。こんな人が日本の舞台で歌ってたらめっちゃ目立ちそう。
ガタイが良くてとにかく陽気なミンアンリ。体育会系のアウトドア派。陰鬱なインドア派ドンビクとの組み合わせだと、その明るさが更に際立ちます。
「お願いだ、友よ」って頼まれるところは単純に頼られて嬉しがってる感じだし、酒瓶逆さまにしてビクターに酒飲ませちゃうところとか、一気コールやってそう。明るい屈託のない笑顔がかわいい。4アンリの中では、一番ビクターと対等な関係だと思いました。ミンアンリがずっと傍にいてくれたら、ビクターもまともな人間になれたかもしれない。
反対にミンアンリは、ビクターと出会ったことで人生狂わされちゃうんですけどね。純粋に友情を信じてて、友情のために自らを犠牲にした彼。そしてビクターに裏切られたとき、友情が怒りによる復讐に変わるんですね。これって日本フランケンのキャッチコピーじゃなかったっけ?ミンアンリだと、この表現がぴったりくるな。

ミンアンリはケムルになっても、陽気でまっすぐな雰囲気は変わらず。カトリーヌを熊から助けて登場するシーンでは、ずっと口をモグモグしてた。よっぽど熊が美味しかったんだね。
ミンケムルは常におこで、友情を裏切ったビクターを絶対に許さないマンなんだけど、怪物になった自分を受け入れられずに苦しんでる様子も感じられた。登場時から、やたらと首の継ぎ目を触る仕草をするなと思ってたら、「♪私は怪物」で自分の首をもぎ取ろうと泣き叫んで苦しんで。ビクターを恨んでる理由が、人生を狂わされた怒りと裏切られた悲しみからだっていうのが、まっすぐ伝わってきました。
そんな熱血漢のミンケムルだけど、北極の最期は本当に寂しくて切なかった。
「ビクター」って呼びかけたミンケムル、一度はビクターの手を避けるんだけど、ハッとした顔で二度目に手を伸ばしたドンビクの手を包み込んで、あの屈託のない笑顔で「これが、俺の、復讐だ」って言うの。出会った時の友達同士に戻って死ぬんですよ。ビクターがアンリを思い出してくれたのがうれしかったのかな。

大邱公演でミンソンさんがミグリしているところに遭遇したんですが、ケムルメイクのまま、ファン一人一人とじっくり話して、ツーショット写真まで撮影してくださってました。サービス良すぎ。日本の公演にもまたぜひ来てください!

■(アンリ/怪物)ハン・チサン

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去年のナポレオン以来、お久しぶりのチサンさん。高くて個性的な歌声はもちろん、繊細な演技とふと漂う色気がたまらないお方です。
チサンさんとの出会いはデスノート。初演のライト(ホン・グァンホさん)が大好きだったのでちょっと斜めにみてたんですが、目の動きとか小道具の使い方とか、歌声に乗せた表現の幅の広さとかにびっくりして、その日から推し入りしました。高校生役も違和感なかったし。だいぶ体絞ってたもんね。
そんなチサンアンリは情感たっぷり、大人で優しい。気は弱いけど、いつもビクターを見守ってて、そっとフォローしてくれるお兄ちゃん。高身長揃いのビクターズとの身長差とクリクリお目目のせいで、見た目は完全にハム太郎。「♪ただ一つの未来」の最後の握手や「♪でも君は」の歌い終わりで見せる、にっこりした笑顔。可愛いかよ。フリルの萌え袖は計算ですか?
チサンアンリ、ちょいちょいセリフの間に「ん?」ってビクターへの呼びかけを挟んでくるんだけど、これが破壊力すごい。ビクターを大切に思う気持ちに溢れてて、「ビクター、聞いて?君の気持ち、僕はわかってるよ」みたいなニュアンスが、「ん?」の一言にこもってるんですよ。本当に優しいお兄ちゃん。
ドンビクとは、この二人だけにみられる仕草が多かった気がします。酒場の「チーヘポールカァーーーーーーーナァーーーー!」は私のフランケン史上最長でした。肺活量すごい。
あとドン×チサといえば何といっても「おでこコツン」。「♪君の夢の中で」で二人で号泣しながら、そっとおでこをよせてコツン。噂には聞いてて覚悟してたけど、記憶飛びました。なんだこれ…なんだこれ…ってずっと脳内で呟きながら観てた。
面会に来たビクターに「初めて会った時のこと、覚えてるかい?ん?」で歌いかけ始めるチサンアンリ。「一緒に夢見られるのなら死んでも後悔しない」って言いながら、泣いて震えてる。断頭台に上る途中でも膝から崩れて歩けなくなる。死ぬのが怖くてたまらない、でもビクターを守るんだっていう強い想い。カイアンリと対照的ですね。
ここまではセリフを喋るように歌ってたチサンアンリ、「♪君の夢の中で」では突然歌声を変えて気高く歌い上げるんですよね。アンリの決意が伝わってきて、涙なしには観られなかったです。
一転、ケムルになってからの歌声は低くて圧力がある。蘇った直後までは生まれたての小動物みたい純粋な目をしてたのに、彷徨い苦しんだ年月を感じる荒んだ目。このアンリからケムルへの変化は、チサンさんの演技が一番凄かった。この人本当にすごい。

そして衝撃の北極。ビクターに銃を向けるチサンアンリ、右手は撃とうとするんだけど、左手が震えながらそれを止める。そして左手で銃を持ち換えて、自分に銃を向けるんですよね。左手にお兄ちゃんがいる。
反射的にケムルを撃ったビクターに「これでお前は一人になった」と低く呟いて、おぞましい笑い声を上げた直後。ふと「ビクター」って呼びかける。あの、優しいアンリの声で。
驚くビクターのおでこを左手で引き寄せてコツン。
「ビクター?ん?もうわかっただろ?これが、僕の、復讐だ」って、アンリの声で。
お兄ちゃんっ!!!(号泣)初めてチサンアンリを観た日はあまりの衝撃で食欲を無くして、大好きなビールも飲みたくなくてチョコウユ飲んで寝ました。

辛いので明るい話題を。チサンさん、ダンスが本当にお上手。酒場のダンスシーンで唯一目を引いたのがチサンさんのダンス(違う意味で目を引いた人もいたけど)。デスノのテニスも上手だったし、なんでもできるのね。次回作はコメディということで、また違ったチサンさんが観られそうですね。JCSの再演も待ってるよ!

■(アンリ/怪物)KAI

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ジョンハン先生と同じソウル大声楽科出身、実力派のカイさん。
ドラキュラ初演のジョナサン役観たときは「めっちゃ歌が上手いモムチャン」という認識しかなかったけど、一気に人気に火がついて、今や主役キャスティングに欠かせない大人気俳優さんですね。TV(覆面歌王だったっけ?)に出た影響も大きかったのかな。

カイアンリといえばメガネ。しかも丸くて継ぎはぎしてるやつ。(のび太み)
鬼に金棒、アンリにメガネ。ちょいちょいメガネをキッと上げる仕草を入れてくるの、反則じゃないですか?
カイアンリはすごく真面目で冗談が通じなさそうなタイプ。頑固で信念を曲げず、自分にも人にも厳しい、超ストイックアンリ。ビクターとの関係は、友達というか、共同研究者、運命共同体っていう雰囲気が近い。ビクターの考えに共感して、同じ信念に向かって突き進む仲間。
ドンビクとの「♪ただ一つの未来」は、二人の声質が似てることもあって、重なり合う低音の響きがとても心地いい。
韓国の観客は似た声質の俳優同士の共演を好むってドンソクさんがお話しされてましたが、ドン×カイのこの曲の後は毎回ショーストップ状態で、他回に比べて歓声がひときわ凄かったです。
彼がビクターの身代わりになったことについては、ビクターのためというより、自分とビクターの信念を貫くためという側面が強く感じられました。面会に来たビクターに、自分の選択に後悔はないとはっきり言い放つカイアンリ。研究者としてのビクターに絶対の信頼を置いているからこそ、死ぬのも怖くない。むしろ自分が実験台になれて幸せだと。
カイアンリ、役人の腕を振り払って、一人で背筋をきりっと伸ばして断頭台に上っていくんですよね。その後に待ち受ける悲劇を知っているからこそ、まっすぐな背中が切なくて辛い。
そしてカイケムルですが、7月に観たのと8月以降に観たのとがあまりに変わりすぎててびっくりしました。7月はよだれダラダラ、手足の動きがバラバラで、カイアンリの面影全く無し、完全に人外の怪物。8月はちょっと人間らしく、よだれも無し、知的さも感じられるケムルになってました。
8月のケムルの方がカイアンリからの繋がりとしては良い気がするんですが、7月のケムルは「失敗作」って感じもして、ビクターへの復讐には、実験の失敗への怒りも込めれているんじゃないかと思ったり。
どちらにしても、カイケムルの怒りは「恨み」に近い感じがします。自分が進んで実験台になったのに、共に夢見た新しい世界はこんなものなのかと。
アンリの記憶を取り戻すまでは、すごく純粋で子供みたいなカイケムル。カトリーヌのことも大好きで、井戸の前ですれ違うときも牢屋の中からもずっとアンニョンしてる。カイアンリにも本当はこんな純粋さがあったのかも。本心を読まれないようにメガネで隠してるとかだったら、萌えしかない。
その反動もあって、「♪私は怪物」での感情の爆発が凄まじい。怒りからの絶望。自分の犠牲は一体なんのためだったのかと。ここからは勝手な考察ですが、自分の信念のために死を選んだつもりだったカイアンリ、実はビクターに対して友情や愛といった感情を抱いていたことも思い出して、絶望したんだと思います。
カイさんは背中に十字架、左脇下と脇腹にタトゥが入ってるんですが、そもそも入れ墨には、ばらばらの死体になっても個体を識別するためという目的があるらしく(だから体を張る職業の人が入れる習慣があるらしい)、「この肉は人の肉」という歌詞がさらに重く響きました。
そして北極での最後。カイケムル、息絶える時に跪いた状態のままでガクッと首を落とすんですが、7月に観たとき、首を落とすのと同時に、涙がポロっとこぼれたんですよ。一粒だけ。
ここまでよだれは垂らしてても涙を見せなかったカイケムル、最後の涙の意味は何だったのか。復讐は果たしたのに、この虚しさは何なんだっていう思いからなのか、押し込めていたビクターへの友情からの涙なのか。はー辛い。

カイさん、日本大好きで、個人的によく遊びに来られてるみたいですね。サインしてもらった時に名前伝えたら「あ、日本人ですか?^^」って日本語で話してくださいました。優しい。そして丸メガネかけてたけど、アンリのメガネも私物だったりして。
12月からは私の大好きなファントムに主演されるので、猛烈に楽しみにしてます。エリック役、絶対合う。どう考えても合う。ドンソク皇子来ると思ってたのに、まさかのカイさん。もちろん嬉しいけどね!1月の日本でのコンサートも楽しみです。

 

以上、主要キャスト別の感想でした。
長すぎるし途中でおかしなテンションになってしまってるので、後から読んだら恥ずかしくなりそう。お付き合いいただいた方、ありがとうございました。
釜山公演まで時間が空くので、気が向いたらまた書きます。

※ちなみに、新幹線には結局3時間以上閉じ込められてました。こんなことなら途中下車してさわやかのハンバーグが食べたかった。

防振双眼鏡と私②~使用感追記

前回、防振双眼鏡の購入から初使用までを勢いで書き綴って放置していたブログ。
ヲタ界のエクスカリバーを手にいれた私のその後、彼とともに生きてきた8か月弱を思い出しつつ、使用感について追記したいと思います。


※ここでいう防振双眼鏡は、私の愛機「canon 10×30 ISⅡ」を指します。

 

1.改めて、防振双眼鏡の良さとは

これについては前記事↓でも書いてますが、改めて。もうcanonさんには感謝で足向けて寝られないです。
どうでもいいけど、今現在私は一度もメタマクいけてないです。主にフランケンのせい。

  • 普通に双眼鏡として優秀

防振ボタン押してなくても、視野が広くて明るい!canonクオリティよ。

  • 自分の視界がブルーレイ画質になる 

対象が大きく見えるのには倍率によって限界があるものの、対象のディティールが手に取るように見える。私は推しの口の中を観察する癖がついてしまった。奥歯までキレイだなとか、歯茎の色がいいなとか、舌苔ついてないなとか。
あとね、背景が暗いときに特になんだけど、対象が浮き出て見えるんですよ。
先日友達に貸したところ、「柿澤の腹筋が浮き出てきた」と驚いてました。(シティオブエンジェルズにて。)
私もフランケンの「ただ一つの未来」でドンビクが上の橋的な場所にいるときにこの現象が起こり、「最高やん…」と声にならぬ声をあげながら防振支えてました。


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3Dドンビク様

  • 暗いところもよく見える

暗転してる舞台上も、防振越しなら見えちゃうんですよ。なんで?
8月に観たフランケン1幕終わりのドンビク、絶叫後、暗転した舞台上でしばらくうずくまってたの、辛かった・・・
あと、アンリの生首抱えるみんな大好きあのシーンもめっちゃよく見えるよ!ドンビク、背中越しに右手で高々と生首掲げるの最高にマッドっぽくてエモいよね? 大切に両手で抱えるミンビクと対象的。   f:id:toto8796:20181014000452j:image
スクショのため画像荒めのマッドサイエンティスト

2.防振双眼鏡の残念なところ

 残念っていっても、良いところでカバーして余りある程度のものですが。

  • 重くてでかい

観劇中の重さはそこまで気にならないのだけど、持ち歩きに難あり。観劇のときは基本リュック。国内で観劇だけに出かけるのはまだいいけど、海外だと観劇の合間に買い物とかするから辛い。うっかり焼酎とか買っちゃうと地獄を見るので次は気を付けましょう、私。

  • なんか怪しまれがち

防振ボタン押すと、ボタン横の小さいランプが緑に点灯するんですけど、暗い劇場だとこれが目立つので、防振バンドとかシールとかで隠す必要あり。そこまで光るわけじゃないし、隠せば全然問題ないんだけど、これがなんか特殊機能ついてる風で怪しまれがち。日本ではある程度普及してるから大丈夫だと思うんだけど、ブルースクエアの2階の係の女の人にジロジロ見られたから、きっとなんか怪しまれてたんだと思う。
韓国語で防振双眼鏡ってなんていうのか、説明できるように調べとかないと。

  

 3.今伝えたいこと
気が済むまで通い詰める系のヲタクは、安い後列の席を買って、浮いた費用で今すぐ防振双眼鏡を買ってください。帝劇クラスなら一番後ろの席でも詳細まで観察OKです。
ちなみにソウルの芸術の殿堂4階一番後ろ(=KAAT3階程度)でも、防振越しなら臨場感そのままに楽しめました。
血ケッティングでクソ席しか掴めなくても、「まあ防振あるからいいか…」って思えるこの余裕。プライスレス。

この冬も一緒にいようね。

防振双眼鏡と私①〜購入から初使用まで〜

防振双眼鏡の素晴らしさを皆様にお伝えしたくて、人生で初めてブログなるものをしたためます。

購入を検討している方の参考になれば幸いです。

 

1.検討

◾️前提:私のスペック

双眼鏡選びに当たり、重要なのはその用途とユーザーとの相性。なので、ご参考までに私のスペックをご紹介します。

  • 主戦場→主に劇場(ミュージカル多め)、たまにコンサート(アリーナクラス多め)。
  • 視力→裸眼で1.2〜+観劇の際はメガネ
  • 手の大きさ→平均より大きい方
  • 体力→人よりある方

視力が良かったこともあり、これまで双眼鏡の必要性をあまり感じたことがなく。何より、双眼鏡を覗いた時の「双眼鏡越しですよ!」っていう視野の狭さと見え方があまり好きじゃなくて、一応持ってるけどあまり使ってませんでした。

◾️欲しくなったきっかけ

推しが兵役に行った2017年。さて、ようやく貯金ができるかと思い始めた頃。

軽い気持ちで踏み込んだのは、そう、豊洲に広がる関東荒野。広大な沼地に足を踏み入れてしまったのです。

髑髏城の七人@IHIステージアラウンド東京

ステージアラウンドとは|TBSテレビ:IHI STAGE AROUND TOKYO

 

 このステージが非常に特殊で、客席を中心にぐるっと円形の舞台が囲んでて、客席が回転して場面転換していく仕組み。

舞台が円形なので、あまりに前の方だと目の前しか見えない。かつ傾斜がほとんど無いので、前の人の座高次第では4時間近く他人の後頭部を見せつけられることになる。

15列辺りでやっと全体が見えるけど、傾斜が甘くて座席間隔が狭いので、視界に人の頭が被りまくる。

後列だと多少見晴らしは良くなるけど、舞台からの距離間ある...役者さんの表情がわからん...

というわけで、後列で全体を見渡しつつ、たまにアップで役者さんの顔を拝む方法が無いものかと考えて、たどり着いたのが、双眼鏡。

(もっと早く気づいてればよかった)

 

◾️先人(ジャニヲタ様)の教え

 ネットを検索したら、出てくる出てくるメーカーさんや先人達の教え。

特に飽くなき探究心をお持ちのジャニヲタの皆様には、この場をお借りして心から御礼申し上げます。

  • ドームクラスなら12倍、帝劇クラスなら8〜12倍がお勧めらしい。
  • 倍率上がるほど大きく見えるけど、視野が狭くなり手ブレが大きくなるらしい。
  • 倍率だけじゃなく、有効径ってのが大事らしい。有効径が大きいほど視野が明るく広いらしい。

f:id:toto8796:20180219225249j:imageビクセン様のカタログより。

  • スペックが高いやつはその分高くて重いが、推しが良く見える感動には代え難いらしい
  • 防振双眼鏡最強(Blu-ray画質)

 

防振双眼鏡...

いろんな人のツイで目にしたことはあったけど、今まで気にしたことなかった。

Blu-ray画質って何や...気になる、気になりすぎる...でも1キロ弱あるやん...ダンベルかよ...てか双眼鏡で定価7万超えとかありえん...でも気になる...

 

◾️ターゲット選定

というわけで、この時点でターゲットを下記に絞る。

※この時点で価格が10万超のものは落選。

ビクセン アトレックⅡ HR8×42WP

先人の評価が高い。not防振。視野が明るくて広く、防振じゃなくても十分満足できるとの評。メーカー希望小売価格31000円

Vixen 双眼鏡 アトレックII HR8×42WP | ビクセン Vixen

ビクセン アトレックⅡ HR10×42WP

①の倍率違い。メーカー希望小売価格33000円。顔のアップだけじゃなくて全身も観たいという欲望を叶えるには、8倍と10倍どちらがよいのか。難点は重さ(705g)。

Vixen 双眼鏡 アトレックII HR10×42WP | ビクセン Vixen

ビクセン アテラ H12×30

    ビクセンが満を持してヲタク向けに発売した防振双眼鏡。メーカー希望小売価格68000円。高いけど、この倍率の防振では最軽量の480g。防振ボタンを押しっぱなしにしなくてもいいらしい。先行のcanonのデメリットを乗り越えてきたところに気概を感じる。

Vixen 双眼鏡 ATERA H12×30 | ビクセン Vixen

canon 10×30 IS Ⅱ

     言わずと知れた、ジャニヲタ界で最も支持されている防振双眼鏡。メーカー希望小売価格74000円。発売から時間が経っても売れ続けている王者には、きっと

選ばれる理由があるのだろう。

キヤノン:双眼鏡 BINOCULARS 10×30 IS II|概要

 

 

2.比較・購入

気になり出したら居ても立っても居られない性分の私、仕事の合間に走ってビッ◯カメラへ。

たまたま入ったこの店舗、有名な某有楽町店に負けるとも劣らない素晴らしいラインナップ!!!気になってた候補たちが全部お試し用に置いてある!!

そわそわする私にそっと近づいてくるその筋の匠っぽい店員氏。

「コンサート?アリーナクラス?ならこれだな」

指差された先には候補①ビクセンアトレックⅡ8倍のやつ。

「アリーナとか劇場なら8倍でいいよ、これ視野が広いから後ろで踊ってるJr.も見えるし」

なぜかいきなりのジャニヲタ認定。

店員氏、店の入り口のドアを開けて外を見ろと指示。

おお...駅前の横断歩道を渡る昼休みのサラリーマンたちの顔が鮮明に見える...!視野が広くて明るい!!もうこれでよくね?

でも一応10倍も試したい。

店員氏「10倍じゃ顔のアップしか見えないよ。まあ、それでいいっていう人も多いんだけどね」

②アトレックⅡ 10×42で店の外を見る。

おぅ...サラリーマンがなに食べにいくー?って話してる唇の動きまで分かる...!!

ただ、ずっしり重い。円筒型なので持ちやすくはあるけど、①の8倍と迷うなあ。

とりあえず他も見ながら考えるか。

そして防振コーナーへ。

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右端が③ビクセンアテラ、左端が④canon

まずは③から。
明るさはまずまずだけど、①②の方が明るかった。視野も①②の方が上。確かに視界は止まって見やすいけど、①②との違いがあんまりわからない...軽いのはいいけど、コスパ考えると①②かな...

続いて④canon

明るさは③より暗い。同じ10倍なら②でいいんじゃないだろか。

店員氏「それ、上のボタン押さないと防振にならないよ」

あ、まだ防振されてなかったのか。ぽちっ。

...あれ?

なんだこれ?

双眼鏡を覗いてる感じが、ない!!

まさに、視界が、Blu-ray画質!!!

サラリーマンのネクタイの柄までわかる!!

防振って、こういうことなのか!!!!

 

というわけで、買う前は色々悩んでいたものの、お試しの結果一発決定。

canon 10×30 ISⅡ

ヲタク界のエクスカリバーと呼びたい。

 

3.使用準備

◾️防振ボタン押しっぱなしバンド

このエクスカリバー、機能は素晴らしいんだけど、防振ボタンが上に付いてて、ボタン押してる間だけが防振になるという仕組み。

先人の教えに従い、セリアでお弁当箱用バンドを購入。

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これを

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 こうじゃ。

先人はボタンを確実に押し込むために、バンドの裏にくるみボタン的なものを仕込んでたけど、このバンドはミッキーが出っ張ってるので、このままでも大丈夫。

 

◾️エネループ

エクスカリバーは単3電池2本で防振機能を発揮するのだ。先人によると押しっぱなしで3-4時間持つらしい。

一公演で消耗しちゃうのはもったいないので、充電池買いました。

単3形 エネループ 4本付充電器セット K-KJ53MCC40 商品概要 | ニッケル水素電池&充電器 | Panasonic

 

これで準備は整った。 

 

4.いざ登城

いよいよ本番。豊洲のステアラへ。

 本日の席は29列のセンター席。

32列が最後列なので、かなりの後方席である。

舞台からの距離は、帝劇でいうと2階の中程より後方かな。

裸眼で見ると、これくらい。

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友情出演:テングー、大仏マト大、中

で、エクスカリバー越しだと、こう

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俳優さんの全身が入るくらいの倍率。後ろの俳優さんも入るくらいの視野の広さはある。

(ちなみに後日中列で見たときはバストアップ位の見え方でした)

まあ、倍率と視野は普通の双眼鏡でも同じでしょう。

大切なのは、

この視野の全てが、

爪の先から髪の毛の一本一本に至るまで、

全て!手に取るように見える!!!

 という点。

福士捨の足の爪、綺麗に切り揃えられてるな、とか。

天魔王さま、奥歯まで白くてなんか強そうだな、とか。

みう蘭兵衛さん、こめかみのピン緩んじゃってるよ!とか。

足元のバミリから奥の舞台のネジ止めまで、全部見える。そんなに大きく拡大されるわけじゃないのに、とにかく見えてる全てが鮮明。

あと、暗いところも良く見えるし、被写体の動きにも強い。(つまり冒頭の六欲天ダンスが最高of最高。そして仮面の奥の狂気の瞳までよく見えましたありがとうありがとう)

防振って何だ。神の領域か。

あ!そうそう、防振の凄さを思い知ったのは、笑って自分が大きく揺れても、視野がブレなかったこと。これは本当にすごい。

重さについては、2幕冒頭から地図を書き直すとこまでで腕の限界きたので、連続30分てとこかな?まあ一回腕下ろせば復活できる。幾多の試練を乗り越えてきたヲタなら、休み入れつつ一公演は全然耐えられるレベルだと思います。 

 

引きで舞台全体を見つつ、いざという時は防振で。まさに、1人ライブビューイングといっても過言ではない。

どこでも神席という先人の言葉を噛み締めた夜でした。

 

5.まとめ

・防振双眼鏡、最強。

・防振双眼鏡、もたらす価値を考えれば、プライスレス。

・もっと早く買えばよかったと後悔してるので、悩んでる人は今すぐ買うべき。

 

以上です。長々と失礼しました。

また他の箱で使って、気が向いたらレポートします!