衝動と情熱だけで生きている

主に観劇の記録。

フランケンシュタインと私

私は今、東京に向かう新幹線こだまの中に閉じ込められています。人身事故だそうです。動く気配なし。こだまって、車内販売無いんですね。知らなかった。腹減って死にそう。バッグの中に奇跡的に1個だけ入っていたカントリーマアムで凌いでます。

やることがないので、気晴らしにブログを書こうと思い立ちました。

既にソウル公演を終え、数回の地方公演を残すのみとなった2018年の韓国フランケンシュタイン。通い詰める系ヲタクなので、自制心を働かせてなるべく後半に初回を観る癖がある私ですが、まんまと7月後半から追い上げて全キャストコンプリートしました。最初からそうなる予感はしてた。

全組み合わせを見られなかったのが非常に心残りではありますが、キャスト別の感想や萌えポイントなどを備忘録として残しておきたいと思います。

ちなみに、私が観た組み合わせ表はこちら。推しに偏っているのは致し方なし。
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 ■(ビクター)リュ・ジョンハン

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動画では見たことあったけど、初めましてのジョンハン先生。
ビクターはジョンハン先生の当て書きだって話もありますが、納得のはまり役。
圧倒的な声量と低音の響きの美しさ。さすが皇帝。
3キャストでは一番大人でインテリなビクターだと思いました。自分の権力と才能を充分理解してて、周囲の人間を見下してる感じ。「ただ一つの未来」で、アンリの言葉を「アニ!」って遮るとことか、自分が絶対だと思ってそう。人を理論武装でねじ伏せる感じ。口喧嘩では絶対勝てないと思う。

リーマン界に例えると、若くして時期社長候補と噂され、派手なネクタイつけて会社で取り巻き連れて歩いてる嫌なヤツ。仕事もできるけど根回しも抜群。絶対社内不倫してるだろ、みたいな。

ただ、そんなインテリにも苦手なことはあるようで、手足を一生懸命カクカクジタバタする様子(ダンス…?)にギャップ萌え。
対極的に、ジャックは徹底的にバカで小者。3キャストでダントツ頭弱そう。1つの劇中でこの演じ分けが観られるなんて、本当にフランケンって贅沢な演目。
ラストに向かって精神崩壊していく様は見てるだけで辛かった。他キャストと違って、まさに狂うって感じ。北極の叫び声で猫ひろしを連想してしまった私をお赦しください。
あと、生で見てびっくりしたのが、意外に小柄なんですね。声質的に大きい人だと思ってた。あの身体からなんであんな声量が生まれるのか。
とにかく男にもてるジョンハン先生、きっとご本人は面倒見の良い兄貴肌なんだと思います。私もリュラインに入りたい。シラノではプロディーサーデビューもしたし、韓ミュ界ではこれからも皇帝として君臨し続けることでしょう。弟たちのこと、よろしくお願いします。

■(ビクター)ミン・ウヒョク

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こちらも初めましてのミン・ウヒョクさん。元野球選手という情報のみで初鑑賞。
一目見て思ったことは「デカくてゴツい」。軍服の威圧感がすごい。きっとたくさん武勲をあげたんだろうなと思わせる迫力。ワーテルローで銃をクルクルと回して腰にしまってたけど、見た目によらず器用なのね。
そしてガテン系の見た目を裏切らず、とにかく熱い。またの名を修造ビクター。常に赤い炎を纏っていらっしゃる。冒頭の実験室で、横たわる怪物へ振り下ろされる「チェバル!(殴)イロ!!(殴)ナ!!!(殴)」の熱い拳。なんかの必殺技みたい。
ツイでよく大型犬みたいって言われてたけど、本当にそれ。ゴールデンレトリバーとか、セントバーナードみたいな。酒場でバウバウ!って吠えてたから、ご本人が自覚されてたのか(もしくはエゴサしてたのか)。チサンアンリとの組み合わせは、まさに大型犬と小型犬。モフモフじゃれあってる感じがたまらない。
嫌な奴感はあんまりなく、わりと真っ直ぐ育って、男友達多そうな感じのビクター。部下からも慕われてる。責任は俺がとるから、失敗を恐れるな!とか言いそう。そしてよく奢ってくれる。飲みすぎて終電逃して駅で寝ちゃうタイプ。(ちなみにリュビクならタクシーで帰るし、ドンビクは飲み会の途中で勝手に帰っちゃう。)

なのに、歌声が繊細なの、反則じゃない?ちょっと鼻にかかった包容力ある声で、感情豊かに歌われた日にゃもう「はあ?なにこれ!!!」ってなるわけですよ。声質的とか音域的にアンリの曲が合いそうと思ってたんだけど、先日のファンタスティックミュージカルコンサートで「君の夢の中で」を聴いて涙腺崩壊。それ反則だよ。1人フランケンシュタインやってくれないかしら。「Loving you keeps me Alive」もとってもよかった。

彼の熱さは北極でも止まるところを知らず、私が観たミン×カイ回では、すさまじい激闘のせいで銃が遥か下手に飛んでしまって、銃を見失ったカイケムルがナイフでとどめ刺そうとしてました。手加減知らず。
これ、ミン×ミンだと相当熱い舞台だったことでしょうね。え?これ天下一武道会?ってね。

ご本人がとにかく優しくてファン思いなのは、前述のミュコンで非常によく伝わりました。インスタも頻繁に更新してくれるし、コメントにはいいねしてくれるし、自分のタグついてる投稿にもいいねしてくれちゃう。心配になるくらいいい人。ウヒョクさんのファンは幸せですね。
ドラマにも出演したり活躍の場が広がってるけど、ミュージカルも引き続きよろしくお願いします。来年のベンハー再演ももちろん期待してますが、繊細な役も観てみたいです。

■(ビクター)チョン・ドンソク

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 来ました、ドンソク皇子。ちょっと長くなると思いますがご了承ください。
まず、私は横顔が美しい人が大好物です。次に、低音でノーブルな声が大好物です。そして、軍服とかロングコートとかマント系が大好物です。つまり、私の理想が3次元になってそこにあるのがドンビクです。同じ時代に生きてくれてありがとう。

高貴な見た目と甘く響くバリトンボイスで、主にハプスブルク家御用達のドンソクさん。昨年末はルドルフ(@ラストキス)、一昨年末には怪人(@ファントム)としてお会いしている、ウンテ神と並ぶ私の年越しアイコンです。今年の年末は「死」でお会いしたかった。もはやかなわぬ夢でしょうか。

そんなドンビクは、見た目の美しさに裏打ちされた自信と傲慢さに、絶対的な説得力があります。3キャスト中、ひねくれ度No.1。ミンビクが赤い炎なら、ドンビクは青い炎。冷酷なマッドサイエンティスト。めっちゃ根暗。きっと他人のことは誰も信じてない。(例外はルンゲくらい?)アンリのことも最初は自分の道具くらいにしか思ってないし、エレンですら自分を捨てた奴とか思ってそう。
そして自分の魅力を充分に理解してるから、アンリの頬を撫でながら「お願いだ、友よ」とか言っちゃう。あんな人にあんな風に言われて落ちない人間がいますか!そりゃアンリも友達以上に思っちゃうよ。
でも、きっと誰よりも愛に飢えてる。寂しさを隠すために強がってる感じ。そこがきっと、アンリの庇護欲をくすぐったのではないかと。嫌な奴だと後ろ指刺されながらも、人を惹きつける力がすごい、それがドンビク。
1幕の自信たっぷり傍若無人な雰囲気があるからこそ、終盤に向かってボロボロになっていく様が痛々しい。「♪君の夢の中で」で泣き崩れるところとか、エレンとのお別れリプライズのシーンとか、ケムルに「お願いだから殺してくれ」って泣きすがるところとか、子供みたいに無防備なんですよね。強がってたのに、どんどん子供に戻っていく。自分一人で生きてきたつもりだったのに、周りに支えられて生きてきたことにようやく気づいて、でも気づいたときにはみんないなくなってるという絶望。
「♪後悔」から漂う悲壮感は、アンリに殺してもらうために北極に行くっていう決意が感じられる。「♪後悔」は3キャストで演じ方の方向性が違っててすごく興味深かったです。ミンビクは、敵である怪物を倒しに行くんだって感じだったし、リュビクは自分の過ちに決着を付けに行くんだって感じだった。同じ曲なのに、これだけ受ける印象が違うのがすごい。
そしてドンビクの凄さといえば、他の追随を許さない圧巻の歌唱力。何があっても絶対ブレない歌声。話が外れますが、ファンタスティックミュコンで「魔王」を聴いて腰抜けそうになりました。歌唱力だけじゃなくて表現力も凄い。恐ろしい子…!
ドンビクの「♪偉大なる~」は、彼にしかできない所業ですね。生首掲げて歌い始める、どこまでも伸びる低音から、オクターブ上げシャウトでハンドル(?)回転させるところまで、よくあれだけ動きまわりながら色んな声が出せるもんだ。
喉が強い(←千鳥ノブ風に)。
この曲だけでチケ代の元が取れるので、ドンビク回は実質タダだと思います。
ちなみに「♪偉大なる~」のドンビクで私が好きなシーンは、ベッドの上に立ち上がって「生命は所詮偶然の産物」って歌いながら天と地を指すところです。(伝われ!)

もう一つの凄さといえば、ビジュアルショック・ドンジャックですね。
舞台降りたら超シャイになる彼、前にインタビューで「あれは僕ではありません」って言ってたけど、絶対楽しんでるよね?ドンジャックだけに許される「可愛い」という絶対正義。髪の毛を指先でクルクルしたり、ほっぺをぷっくり膨らませたり、ちょっと拗ねた顔してみたり、ああいう技はどこでどうやって習得するんですか?私、長年女子やってるけど、一つも習得できてないよ?

ドンジャックは歪んだ狂気を感じさせるヒステリックさもツボ。笑いながら人殺しちゃうみたいな。エバとの絡みだとMっぽいけど、本質は多分S。キレどころが分からない怖さ。へなちょこダンスもエバや手下たちとの絡みも、見どころが多すぎてここだけでチケ代の元が取れる。できることなら、「クレドチョア(ド低音)」を毎日寝る前に聴きたい。寝れんわ。

もう一つ、どうしても言っておきたいのが、2幕冒頭の結婚式。
甘い。えげつなく甘い。1幕終わりの絶望感がすべて吹っ飛ぶようなお花畑が見える。劇の流れとしてどうとかそういうのは置いといて、このシーンの復活に尽力いただいたすべての方々、チンシムロカムサハムニダ
歌いかけるジュリアを、くるくる表情を変えながら見つめるドンビク。指輪を自分の胸に当てるドンビク。ジュリアの手にキスして跪いて指輪をはめるドンビク。あれ?皇太子様?ここLGアートホールだっけ…?
私が観た中で一回だけ「愛いやつめ!」(©王家の紋章)って表情をしたんですが、周囲からフォオオォって声が上がってた(し、きっと私も声が漏れてた)。まじで死人が出るから程々でお願いしたい。この場面を凝視するために、毎回下手寄りの席を取っていたといっても過言ではありません。結婚式観ると生きててよかったと思うし、ここだけでチケット代の元が(略)

ドンビクだけは全アンリとの組み合わせを観られたんですが、4アンリとの関係性がそれぞれ全く違うのが面白かった。神の罰ドン×ウン、俺たち友達ドン×ミン、乙女の夢ドン×チサ、ストイックなドン×カイ。年末の演技大賞で、全てにベストカップル賞を与えたい。きっと12通りの組み合わせごとに、それぞれの化学反応が見られたんでしょうね。主役級の俳優が二人キャスティングされるフランケンならではの贅沢さ。

トートもエリックもルドルフもそうだけど、影のある役を演らせたら世界一のドンソク皇子。いつかぜひドラキュラを観てみたい。スペシャルゲスト、チサンジョナタンとのFresh Bloodとかね、想像だけで白飯3杯はいけますね。

最近はファンカフェのゴタゴタで写真も動画も見られなくなったのが残念です。私は根がシアペンなので、高画質写真や動画に囲まれたペン活が当たり前だと思ってたんですが、ドンソク皇子については公演がないと生きてるか死んでるかもわからない。8年ぶり位に、DCゲルを覗き見る日々を送ってます。

ちなみにドンソク皇子は「ジョンハン先生の最も成功したサセン」と言われてる、リュラインのマンネです。先生の公演には必ず目撃情報が上がり、先生のご結婚までは公認カップルでありました。幸あれ!そして次回作はよ!!

※シアペン=キムジュンスのファンの呼称。ちなみに正確にいうと私はユスペンです。
※サセン=私生活まで追っかけるやらかしファンを指す。

※マンネ=末っ子。もう1人のリュラインはシンソンロク様。豪華。

 ■(アンリ/怪物)パク・ウンテ

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神の子、パク・ジーザス・ウンテ。ここも多分長くなります。
どんな役やってても神々しさを隠せない。聖なる声、柔らかな指の動き、美しい涙。私が最初に堕ちた韓ミュ俳優さんです。
彼は生きてる次元が違うので、ウンアンリは他のアンリとは方向性が全く違います。
怪物なんかじゃない。生命の摂理に背いたビクターを罰するために、神から遣わされた使徒。ハレルヤ!

私は2015年のドン×ウンを見逃したのを3年間後悔し続けていて、再演のニュースを聞いてからずっとソウル方面に念を送り続けていたので、出演の一報を聞いたときは飛び上がって喜びました。
一足早くアメリカ方面(@蚕室)に旅立たれてしまったのでドンビクとの1回しか観られなかったんですが、この1回が強烈な印象を残してくれました。

1幕ではビクターを優しく見守る聖母。目が慈愛に満ち溢れてる。酔いつぶれたビクターを介抱する仕草とか、面会に来たビクターに「来たのか」って呼びかける声とか、概念としての「愛」そのもの。子供っぽく傲慢なドンビク相手だから、際立ってそう見えたのかもしれない。
そして何といっても「♪君の夢の中で」。泣き崩れるビクターの頭をそっと抱き、死んでも後悔なんてしない、幸せだ、君の夢の中で生きられるのだから…って、一筋の涙を流しながら静かに微笑を浮かべるウンアンリ。まさにアガペー。哀しくも神々しい。断頭台に上る背中に光背が見えた。ビクターが生命創造しなくても3日後に生き返ったかもしれない。

慈愛の1幕から一転、2幕の怪物から感じられる憤怒。「♪そこには」のカトリーヌとのシーンで自分がアンリだったことをはっきり思い出した風だったけど、「♪私は怪物」では、ビクターへの個人的な恨みというより、愛を裏切った者への罰、生命を弄んだ者への怒りが強い気がしました。
ウンアンリを観て考えさせられたのが、神に背くビクターの考えに反対していたアンリが、なぜビクターに協力したのか。人類の未来を拓くというビクターの論理に共感したから?いや、きっとウンアンリの信念は変わらなかったんじゃないか、そこには倫理を超えた「愛」があったんじゃないかと思ってしまうのです。
「♪ただ一つの未来」の最後、握手を交わした手をじっと見つめる仕草からも、そんな逡巡がアンリの中にあるんじゃないかと深読みしてしまいました。
その「愛」への裏切りが、神の怒りとなって現れたのがウンケムルじゃないかと。ウンテさんが演じるからこそ成り立つ考察ですが…。

だとしたらビクターの死は贖罪ですよね。でもそれを赦さないウンケムル。それだけ彼の罪は重いのだと。生命創造装置を破壊されて絶望し、お願いだから殺してくれと手を擦り合わせて頼むドンビクに、梯子の上から「まだ駄目だ」と言い放つウンケムル。旧約聖書の宗教画みたい。(題名「神の裁き」)

自分が死ぬことで、ビクターに最後の裁きを与えたウンケムルは、あの慈愛に満ちた目に戻ってました。ミケランジェロピエタみたいな構図で(マリアとキリストが逆だけど)。ああ、書きながら思い出して本当に辛い。毎回泣いてるけど、多分一番泣いた回でした。

ウンテさん、マッコン後に、この役は本当に演じるのが辛いから引き受けるのも迷ったみたいなことをお話しされてたけど、そうでしょうね。マディソンの練習と掛け持ちしながらだし、精神的にも肉体的にも相当な負担だったはず。出演してくれてチンシムロカムサハムニダ

ウンテさんは奥様がマメにインスタ更新してくださるので、家で子守歌歌う神とか、運動会でハッスルする神とか、わりと頻繁に神の日常を垣間見ることができます。ありがたや。
そして、ウヒョクさんに負けないファン思い。まさに「神対応」。世界一優しい「クレヨ」を発するウンテ神。JCSの再演お待ちしてます!その前にジキハイ楽しみ。

■(アンリ/怪物)パク・ミンソン 

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またまたフランケンで初めましてのパク・ミンソンさん。
パク・ソンファン名義で日本でも活躍されていたんですね。サイゴン観てないから知らなかった。こんな人が日本の舞台で歌ってたらめっちゃ目立ちそう。
ガタイが良くてとにかく陽気なミンアンリ。体育会系のアウトドア派。陰鬱なインドア派ドンビクとの組み合わせだと、その明るさが更に際立ちます。
「お願いだ、友よ」って頼まれるところは単純に頼られて嬉しがってる感じだし、酒瓶逆さまにしてビクターに酒飲ませちゃうところとか、一気コールやってそう。明るい屈託のない笑顔がかわいい。4アンリの中では、一番ビクターと対等な関係だと思いました。ミンアンリがずっと傍にいてくれたら、ビクターもまともな人間になれたかもしれない。
反対にミンアンリは、ビクターと出会ったことで人生狂わされちゃうんですけどね。純粋に友情を信じてて、友情のために自らを犠牲にした彼。そしてビクターに裏切られたとき、友情が怒りによる復讐に変わるんですね。これって日本フランケンのキャッチコピーじゃなかったっけ?ミンアンリだと、この表現がぴったりくるな。

ミンアンリはケムルになっても、陽気でまっすぐな雰囲気は変わらず。カトリーヌを熊から助けて登場するシーンでは、ずっと口をモグモグしてた。よっぽど熊が美味しかったんだね。
ミンケムルは常におこで、友情を裏切ったビクターを絶対に許さないマンなんだけど、怪物になった自分を受け入れられずに苦しんでる様子も感じられた。登場時から、やたらと首の継ぎ目を触る仕草をするなと思ってたら、「♪私は怪物」で自分の首をもぎ取ろうと泣き叫んで苦しんで。ビクターを恨んでる理由が、人生を狂わされた怒りと裏切られた悲しみからだっていうのが、まっすぐ伝わってきました。
そんな熱血漢のミンケムルだけど、北極の最期は本当に寂しくて切なかった。
「ビクター」って呼びかけたミンケムル、一度はビクターの手を避けるんだけど、ハッとした顔で二度目に手を伸ばしたドンビクの手を包み込んで、あの屈託のない笑顔で「これが、俺の、復讐だ」って言うの。出会った時の友達同士に戻って死ぬんですよ。ビクターがアンリを思い出してくれたのがうれしかったのかな。

大邱公演でミンソンさんがミグリしているところに遭遇したんですが、ケムルメイクのまま、ファン一人一人とじっくり話して、ツーショット写真まで撮影してくださってました。サービス良すぎ。日本の公演にもまたぜひ来てください!

■(アンリ/怪物)ハン・チサン

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去年のナポレオン以来、お久しぶりのチサンさん。高くて個性的な歌声はもちろん、繊細な演技とふと漂う色気がたまらないお方です。
チサンさんとの出会いはデスノート。初演のライト(ホン・グァンホさん)が大好きだったのでちょっと斜めにみてたんですが、目の動きとか小道具の使い方とか、歌声に乗せた表現の幅の広さとかにびっくりして、その日から推し入りしました。高校生役も違和感なかったし。だいぶ体絞ってたもんね。
そんなチサンアンリは情感たっぷり、大人で優しい。気は弱いけど、いつもビクターを見守ってて、そっとフォローしてくれるお兄ちゃん。高身長揃いのビクターズとの身長差とクリクリお目目のせいで、見た目は完全にハム太郎。「♪ただ一つの未来」の最後の握手や「♪でも君は」の歌い終わりで見せる、にっこりした笑顔。可愛いかよ。フリルの萌え袖は計算ですか?
チサンアンリ、ちょいちょいセリフの間に「ん?」ってビクターへの呼びかけを挟んでくるんだけど、これが破壊力すごい。ビクターを大切に思う気持ちに溢れてて、「ビクター、聞いて?君の気持ち、僕はわかってるよ」みたいなニュアンスが、「ん?」の一言にこもってるんですよ。本当に優しいお兄ちゃん。
ドンビクとは、この二人だけにみられる仕草が多かった気がします。酒場の「チーヘポールカァーーーーーーーナァーーーー!」は私のフランケン史上最長でした。肺活量すごい。
あとドン×チサといえば何といっても「おでこコツン」。「♪君の夢の中で」で二人で号泣しながら、そっとおでこをよせてコツン。噂には聞いてて覚悟してたけど、記憶飛びました。なんだこれ…なんだこれ…ってずっと脳内で呟きながら観てた。
面会に来たビクターに「初めて会った時のこと、覚えてるかい?ん?」で歌いかけ始めるチサンアンリ。「一緒に夢見られるのなら死んでも後悔しない」って言いながら、泣いて震えてる。断頭台に上る途中でも膝から崩れて歩けなくなる。死ぬのが怖くてたまらない、でもビクターを守るんだっていう強い想い。カイアンリと対照的ですね。
ここまではセリフを喋るように歌ってたチサンアンリ、「♪君の夢の中で」では突然歌声を変えて気高く歌い上げるんですよね。アンリの決意が伝わってきて、涙なしには観られなかったです。
一転、ケムルになってからの歌声は低くて圧力がある。蘇った直後までは生まれたての小動物みたい純粋な目をしてたのに、彷徨い苦しんだ年月を感じる荒んだ目。このアンリからケムルへの変化は、チサンさんの演技が一番凄かった。この人本当にすごい。

そして衝撃の北極。ビクターに銃を向けるチサンアンリ、右手は撃とうとするんだけど、左手が震えながらそれを止める。そして左手で銃を持ち換えて、自分に銃を向けるんですよね。左手にお兄ちゃんがいる。
反射的にケムルを撃ったビクターに「これでお前は一人になった」と低く呟いて、おぞましい笑い声を上げた直後。ふと「ビクター」って呼びかける。あの、優しいアンリの声で。
驚くビクターのおでこを左手で引き寄せてコツン。
「ビクター?ん?もうわかっただろ?これが、僕の、復讐だ」って、アンリの声で。
お兄ちゃんっ!!!(号泣)初めてチサンアンリを観た日はあまりの衝撃で食欲を無くして、大好きなビールも飲みたくなくてチョコウユ飲んで寝ました。

辛いので明るい話題を。チサンさん、ダンスが本当にお上手。酒場のダンスシーンで唯一目を引いたのがチサンさんのダンス(違う意味で目を引いた人もいたけど)。デスノのテニスも上手だったし、なんでもできるのね。次回作はコメディということで、また違ったチサンさんが観られそうですね。JCSの再演も待ってるよ!

■(アンリ/怪物)KAI

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ジョンハン先生と同じソウル大声楽科出身、実力派のカイさん。
ドラキュラ初演のジョナサン役観たときは「めっちゃ歌が上手いモムチャン」という認識しかなかったけど、一気に人気に火がついて、今や主役キャスティングに欠かせない大人気俳優さんですね。TV(覆面歌王だったっけ?)に出た影響も大きかったのかな。

カイアンリといえばメガネ。しかも丸くて継ぎはぎしてるやつ。(のび太み)
鬼に金棒、アンリにメガネ。ちょいちょいメガネをキッと上げる仕草を入れてくるの、反則じゃないですか?
カイアンリはすごく真面目で冗談が通じなさそうなタイプ。頑固で信念を曲げず、自分にも人にも厳しい、超ストイックアンリ。ビクターとの関係は、友達というか、共同研究者、運命共同体っていう雰囲気が近い。ビクターの考えに共感して、同じ信念に向かって突き進む仲間。
ドンビクとの「♪ただ一つの未来」は、二人の声質が似てることもあって、重なり合う低音の響きがとても心地いい。
韓国の観客は似た声質の俳優同士の共演を好むってドンソクさんがお話しされてましたが、ドン×カイのこの曲の後は毎回ショーストップ状態で、他回に比べて歓声がひときわ凄かったです。
彼がビクターの身代わりになったことについては、ビクターのためというより、自分とビクターの信念を貫くためという側面が強く感じられました。面会に来たビクターに、自分の選択に後悔はないとはっきり言い放つカイアンリ。研究者としてのビクターに絶対の信頼を置いているからこそ、死ぬのも怖くない。むしろ自分が実験台になれて幸せだと。
カイアンリ、役人の腕を振り払って、一人で背筋をきりっと伸ばして断頭台に上っていくんですよね。その後に待ち受ける悲劇を知っているからこそ、まっすぐな背中が切なくて辛い。
そしてカイケムルですが、7月に観たのと8月以降に観たのとがあまりに変わりすぎててびっくりしました。7月はよだれダラダラ、手足の動きがバラバラで、カイアンリの面影全く無し、完全に人外の怪物。8月はちょっと人間らしく、よだれも無し、知的さも感じられるケムルになってました。
8月のケムルの方がカイアンリからの繋がりとしては良い気がするんですが、7月のケムルは「失敗作」って感じもして、ビクターへの復讐には、実験の失敗への怒りも込めれているんじゃないかと思ったり。
どちらにしても、カイケムルの怒りは「恨み」に近い感じがします。自分が進んで実験台になったのに、共に夢見た新しい世界はこんなものなのかと。
アンリの記憶を取り戻すまでは、すごく純粋で子供みたいなカイケムル。カトリーヌのことも大好きで、井戸の前ですれ違うときも牢屋の中からもずっとアンニョンしてる。カイアンリにも本当はこんな純粋さがあったのかも。本心を読まれないようにメガネで隠してるとかだったら、萌えしかない。
その反動もあって、「♪私は怪物」での感情の爆発が凄まじい。怒りからの絶望。自分の犠牲は一体なんのためだったのかと。ここからは勝手な考察ですが、自分の信念のために死を選んだつもりだったカイアンリ、実はビクターに対して友情や愛といった感情を抱いていたことも思い出して、絶望したんだと思います。
カイさんは背中に十字架、左脇下と脇腹にタトゥが入ってるんですが、そもそも入れ墨には、ばらばらの死体になっても個体を識別するためという目的があるらしく(だから体を張る職業の人が入れる習慣があるらしい)、「この肉は人の肉」という歌詞がさらに重く響きました。
そして北極での最後。カイケムル、息絶える時に跪いた状態のままでガクッと首を落とすんですが、7月に観たとき、首を落とすのと同時に、涙がポロっとこぼれたんですよ。一粒だけ。
ここまでよだれは垂らしてても涙を見せなかったカイケムル、最後の涙の意味は何だったのか。復讐は果たしたのに、この虚しさは何なんだっていう思いからなのか、押し込めていたビクターへの友情からの涙なのか。はー辛い。

カイさん、日本大好きで、個人的によく遊びに来られてるみたいですね。サインしてもらった時に名前伝えたら「あ、日本人ですか?^^」って日本語で話してくださいました。優しい。そして丸メガネかけてたけど、アンリのメガネも私物だったりして。
12月からは私の大好きなファントムに主演されるので、猛烈に楽しみにしてます。エリック役、絶対合う。どう考えても合う。ドンソク皇子来ると思ってたのに、まさかのカイさん。もちろん嬉しいけどね!1月の日本でのコンサートも楽しみです。

 

以上、主要キャスト別の感想でした。
長すぎるし途中でおかしなテンションになってしまってるので、後から読んだら恥ずかしくなりそう。お付き合いいただいた方、ありがとうございました。
釜山公演まで時間が空くので、気が向いたらまた書きます。

※ちなみに、新幹線には結局3時間以上閉じ込められてました。こんなことなら途中下車してさわやかのハンバーグが食べたかった。